EMD GP7形ディーゼル機関車

EMD GP7：北米鉄道史に残る名機

EMD GP7は、ゼネラルモーターズ・エレクトロモーティブ・ディビジョン（GM-EMD）が1949年10月から1954年5月にかけて製造した、4動軸のディーゼル機関車です。同社が初めてフードユニットを採用した機関車としても知られ、その画期的なデザインと高い信頼性から、北米の鉄道輸送に革命をもたらしました。

ロードスイッチャーの進化とGP7の成功

GP7以前にも、アメリカン・ロコモティブ（ALCO）、フェアバンクス・モース、ボールドウィンといったメーカーがロードスイッチャータイプのディーゼル機関車を製造していました。しかし、GP7の登場はロードスイッチャーのデザインを決定づける大きな転換点となりました。EMDの4動軸ロードスイッチャーは「多目的」を意味するGeneral Purposeの略称「GP」を型名に冠し、「ジープ」の愛称で親しまれるようになりました。

GP7は、運転台付きのAユニット2729両と、運転台のないBユニット（GP7B）5両、合計2734両が製造されました。そのうち92両はカナダへ、2両はメキシコへ輸出され、北米各地の鉄道で活躍しました。

デザインと特徴

基本的には、フードの短い方を先頭とする設計でしたが、鉄道事業者によっては長い方を先頭とする運用もありました。前方視界を確保するため、ショートフードの高さを抑えた車両も存在します。一方、後方視界の確保を優先し、ショートフード側を後方に向けた運用も確認されています。

オプションとして発電ブレーキ（ダイナミックブレーキ）が用意されており、搭載車両はロングフード中央部に張り出しが見られます。台車は、主にブロンバーグB形台車が使用されましたが、一部車両にはAAR A形台車が採用されました。

運用と保存

一級鉄道では1980年代初頭までにGP7の運用を終了しましたが、現在でも中小規模の鉄道で多数のGP7が現役で活躍しています。また、シカゴ・アンド・ノース・ウェスタン鉄道の1518号機（製造番号1号機）をはじめ、多くのGP7が博物館などで保存されており、一部施設では体験運転も可能です。

派生型と改造

GP7にはいくつかの派生型や改造例があります。

Bユニット: 1953年3月から4月にかけて製造され、アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道（ATSF）に納入されました。
旅客用GP7: 蒸気発生装置を搭載し、客車への暖房や電源供給を可能にした車両も存在します。蒸気発生装置用の水タンクを搭載したことで燃料タンクが小さくなったものや、空気タンクをロングフード上に移動した車両もあります。
GP7M: FシリーズのFTから流用した部品を使用し、サンタフェ鉄道の99号機として納入された車両。FTのエンジンを使用していたため、出力は1350馬力でした。
台車の改造: AAR A形台車を使用していた車両の中には、廃車になったアメリカン・ロコモティブのRS-1から取り外したAAR B形台車に交換されたものもあります。

EMD GP7は、その高い信頼性と汎用性、そして特徴的なデザインにより、北米鉄道史において重要な地位を占める機関車と言えるでしょう。現在でも保存車両が各地で見られることから、その歴史的価値も高く評価されています。

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