EMate 300

eMate 300：教育市場向け携帯情報端末

eMate 300は、Appleが1997年に教育市場向けに発売した携帯情報端末です。その特徴的なデザインと機能は、当時のモバイルコンピューティングの世界に新たな風を吹き込みました。

概要

eMate 300は、1997年3月7日に800USドルで発売されました。しかし、1998年2月にニュートンシリーズが終了したため、後継機種は発売されませんでした。半透明の筐体は、その後のiMacやiBookのデザインに影響を与えました。

特徴

eMate 300は、教育現場での利用を想定した設計がなされています。

ディスプレイ: 480x320ピクセルの解像度を持つ16階調バックライト付きディスプレイを搭載し、視認性に優れています。
入力: スタイラスペンによる手書き入力に加え、フルサイズのキーボードを備え、快適な文字入力を実現しています。
通信: 赤外線通信ポート、Macintoshの標準シリアル/LocalTalkポートを装備し、外部機器との連携も可能です。
バッテリー: 内蔵の充電式バッテリーにより、満充電時には最大28時間の使用が可能です。
プロセッサ: 低価格を実現するため、クロック周波数25MHzのARM 710aプロセッサを採用。MessagePad 2000に搭載されていたStrongARM 110プロセッサと比較すると、RAM容量や拡張性で劣ります。

デザイン

eMate 300は、耐久性を重視したデザインが特徴です。

筐体: 教室での利用を想定し、耐久性の高い緑色の半透明プラスチック筐体を採用しています。
キーボード: ダークグリーンのキーボードは、当時のPowerBookのデザインを踏襲しています。
試作機: 紫、赤、橙色の試作機も存在しましたが、量産には至りませんでした。
ハンドルと三脚穴: 背面には持ち運び用のハンドル、裏面には三脚の取り付け用ネジ穴があり、携帯性と屋外での利用を考慮した設計となっています。
ネームプレート: 裏面にはネームプレートを取り付ける場所もあり、学校での利用を想定した設計となっています。

iBookへの影響

eMate 300のデザイン、特に耐久性のあるハンドル付きプラスチック筐体は、1999年に発売された初代iBookシリーズに流用されました。iBookは、300MHzのPowerPC G3プロセッサを搭載し、eMate 300よりも高性能でした。

関連製品

Apple Newton
iMac
iPad

参考文献

Owen Linzmayer, Apple Confidential 2.0, pages 191-206, ISBN 1-59327-010-0 (2004)

外部リンク

Everymac.com - eMate 300 Specifications
The Apple Museum - Newton eMate 300
Applefritter - eMate 300
IGM - eMate 300 review
Compare the eMate and iBook
Overclocking
"Apple Gets An 'A'" at BusinessWeek
Salon.com's review
STREETtech.com's review
Retrospective review at the-gadgeteer.com
* Byte Cellar: Newton eMate 300 As A Serial Terminal

eMate 300は、その革新的なデザインと教育現場での利用を考慮した設計により、Appleの歴史において重要な位置を占める製品です。後のiMacやiBookに影響を与えたデザインは、今なお多くの人々に愛されています。

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