EROTIC&HERETIC

ALI PROJECTのアルバム『EROTIC&HERETIC』は、2002年7月24日にビクターエンタテインメントから発売されました。ユニットの中心人物である宝野アリカと片倉三起也によって制作されたこのアルバムは、そのタイトルが示すように、「エロティック」と「異端」という二つの要素を融合させた独特の世界観を持っています。

アルバムのジャケットは、鮮やかな色彩と鱗状のエンボス加工が特徴的で、視覚的にも強い印象を与えます。歌詞カードは蛇腹状に折り畳まれており、細部にまでこだわりが感じられます。

音楽面では、クラシック音楽からの影響が色濃く反映されている点が特徴的です。収録曲の一つである「赤と黒 (Album version)」は、アニメ『ノワール』のイメージソングとして使用されました。この楽曲では、スタンダールの同名小説に着想を得た歌詞に加え、ヘンリク・グレツキの『弦楽四重奏曲第1番 Op. 62』がサビとアウトロに引用されています。また、イントロ部分にはソフィア・グバイドゥーリナの『T.S.エリオットへのオマージュ』より「第7楽章 罪は避けられない、けれども」の録音音源が使用されています。

「戦争と平和」では、サビにJ.S.バッハの「小フーガト短調」がモチーフとして用いられています。トルストイの同名長編小説を連想させるタイトルも印象的です。

インストゥルメンタル曲である「Arabesque Romanesque」では、アントニオ・カルダーラの『たとえつれなくとも』が引用されています。

アルバムに収録された楽曲のタイトルもまた、ALI PROJECTの世界観を色濃く反映しています。「熱帯性植物園」「遊月恋歌」「schism」「Lolita in the garret」「時の森のソワレ」「夢魔の夜、あなたを迎える者がある」「Nostalgia」など、耽美で幻想的な言葉が並びます。

参加ミュージシャンとしては、渡辺剛（Strings Arrange, Violin 1st）、今野均（Violin 2nd）、志賀恵子（Viola）、四家卯大（V.Cello）、山田武彦（A.Piano）、伊丹雅博（A.Guitar）、田代耕一郎（A.Guitar & Bouzouki & Laud）、古川望（E.Guitar）などがクレジットされています。彼らの演奏が、ALI PROJECTの音楽に深みと奥行きを与えています。

特筆すべき点として、ALI PROJECTの他の多くのアルバムがAmazon music unlimitedで聴けるのに対し、この『EROTIC&HERETIC』はサブスクリプションサービスでは配信されていません。そのため、CD等でしか聴くことができない貴重な作品となっています。

『EROTIC&HERETIC』は、ALI PROJECTの音楽性を深く理解するための重要な作品の一つと言えるでしょう。

もう一度検索