EVERLASTING (L'Arc〜en〜Cielの曲)

L'Arc〜en〜Ciel シングル「EVERLASTING」

「EVERLASTING」は、日本のロックバンドL'Arc〜en〜Cielが2014年8月13日にリリースした、完全受注生産限定シングルです。Ki/oon Musicから発売されました。

概要

本作は、12thアルバム「BUTTERFLY」以来、約2年半ぶりとなる未発表音源を収録した作品です。ナンバリングシングルとしては扱われず、「MUSIC & PHOTOS -国立競技場公演 Memorial Edition-」と銘打たれた完全受注生産限定作品として発表されました。そのため、発売は事前予約者のみに限定されています。しかし、オリコン週間シングルチャートでは2位にランクインし、各種チャートや公式サイトのディスコグラフィーではシングル作品として扱われています。

表題曲「EVERLASTING」は、2014年3月に国立競技場で行われたライブ「L'Arc〜en〜Ciel LIVE 2014 at 国立競技場」で新曲として披露された楽曲です。ダークエレクトロの要素を取り入れた、これまでのシングル曲とは一線を画すサウンドが特徴です。L'Arc〜en〜Cielのシングルの表題曲では通常制作されるミュージックビデオは、本作では制作されていません。そのため、テレビ等のメディアではライブ映像が使用されることが多いです。

また、本作には、従来のシングルに収録されていた表題曲のインストゥルメンタルやカップリング曲は収録されていません。収録曲が1曲のみのCD作品は、1998年の「HONEY」「花葬」以来、約16年ぶりとなります。

さらに、表題曲にはタイアップが付いておらず、「X X X」以来3作目となるタイアップ曲を含まないシングル作品です。

リリース

リリースプロモーション

これまでのシングル発売時に行われていたメンバーによるメディア出演などのプロモーション活動は、本作では一切行われませんでした。ただし、発売から約4ヶ月後の2014年12月26日には、テレビ朝日系列の音楽番組「ミュージックステーション スーパーライブ 2014」で表題曲がテレビ初披露されました。

リリース形態

本作は、完全受注生産限定作品（CD＋PHOTOS）の1形態でのみリリースされました。予約期間である2014年3月25日から同年5月31日までに予約された分のみが、2014年8月13日に発売されています。フィジカルはハードカバーの特別仕様（約28cm×32cm）で、2014年のライブ「L'Arc〜en〜Ciel LIVE 2014 at 国立競技場」の大判ライブフォト10枚が付属しています。さらに、ライブフォトのデザインが異なる「LE-CIEL盤」がファンクラブ会員限定で販売されました。また、同年11月12日発売のライブビデオ「L'Arc〜en〜Ciel LIVE 2014 at 国立競技場」と本作の購入者を対象に、国立競技場公演で使用されたフラッグが抽選でプレゼントされる連動企画も行われました。

フィジカル発売から約1ヶ月後の同年9月17日には、表題曲のデジタルリリースが開始され、同年10月10日にはL'Arc〜en〜Cielとして初となるハイレゾリューションオーディオ音源の配信も開始されました。

本作のジャケットデザインは、ライブ会場となった国立競技場を背景に、傘を差した女性のイラストが描かれています。アートディレクションはPARK GALLERYが、イラストはイラストレーターの粟津泰成が担当しました。

収録曲

1. EVERLASTING

楽曲解説

EVERLASTING

作詞: hyde / 作曲: ken / 編曲: L'Arc〜en〜Ciel

ゴシックやインダストリアルから影響を受けたダークエレクトロの雰囲気が特徴の楽曲です。hydeは、ライブで初披露する際、「新曲はkenが作るような、映画音楽のような、L'Arc〜en〜Cielにしかできない音楽がいいなと思っていた。20何年バンドをやっていると、それが言わなくても伝わる。イメージ通りの曲を作ってくれました」と語りました。

この曲のデモトラックは、衝撃音などで構成されたビートに、民謡のようなコードを付けて制作されました。作曲を担当したkenは、「架空の異国民謡」「綺麗で面白いコード進行の曲」とイメージを語っています。また、制作時期の作曲に関する志向について、「メロディーがないような曲や、一度聴いただけでは理解できないようなリズムの曲を打ち込むことが多かった」と述べています。さらに、「メインとなるコード進行をまずガットギターで作り、そのガットギターと歌メロだけで成り立つ曲を、当時の打ち込みの雰囲気と融合させる」という制作手法だったと語っています。打ち込み作業にはkenだけでなく、yukihiroも参加しています。

kenは、リスナーからの「自分で作った曲に自分で感動したことはあるか」という質問に対し、「「EVERLASTING」のコード進行に感動した」と答えています。

サウンドの主軸は、リズムの他に、ストリングスやパッドなどのシーケンスで構成されています。サビでは、楽曲に広がりと奥行きを与えるエレクトリックギターのフレーズが登場します。このギターパートは、透明感のあるアルペジオとアーミングによる揺らぎが組み合わされ、繊細な雰囲気を醸し出しています。このギターパートは、kenによる多重録音ではなく、kenとtetsuyaの2人で演奏されています。

tetsuyaは、この曲のギター録音で1950年代のストラトキャスターの再現モデルを使用し、アルペジオフレーズを演奏しました。kenはギブソン・J-50に加え、フェンダー・カスタム・ショップ製のシグネイチャーモデルを使用し、kenとtetsuyaによるツインギター体制でレコーディングが行われました。なお、tetsuyaはベースを演奏していません。ライブでもレコーディングと同様に、kenとtetsuyaによるツインギターのスタイルで披露されています。

歌詞はhydeが手掛けており、過去の恋を引きずる大人の恋愛感情を描いた内容となっています。歌詞には、女性的な言い回しが多く盛り込まれています。2サビ終わりには、「心の中はまだ科学的に解明されていない。恋とは目で見ないで、心で見る。だからやっかいだ。」という英語のフレーズが登場します。ライブではhydeの声の同期が使用されていましたが、音源ではnana hatoriが担当しています。

この英詞に登場する「恋とは目で見ないで、心で見る」というフレーズは、シェイクスピアの喜劇『夏の夜の夢』にも似た表現が見られます。

参加ミュージシャン

hyde：Vocal
ken：Electric Guitar, Acoustic Guitar
tetsuya：Electric Guitar
yukihiro：Drums
ken：Keyboard & Programming
yukihiro：Keyboard & Programming
Nana Hatori：Dialog

関連項目

「L'Arc〜en〜Ciel LIVE 2014 at 国立競技場」 - 本作の表題曲を初披露したライブの詳細。
『L'Arc〜en〜Ciel LIVE 2014 at 国立競技場』 - ライブビデオ。2014年3月22日の東京最終日公演の模様を収録。

参考文献

『GiGS』、シンコーミュージック・エンタテイメント、2014年9月号
* 『GiGS』、シンコーミュージック・エンタテイメント、2016年2月号

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