EbXML

ebXML (Electronic Business using eXtensible Markup Language)

ebXMLは、XMLをベースとした企業間電子商取引（B2B）のためのオープンな標準仕様群です。これは単なる取引データの交換だけでなく、取引プロセスやプロトコルの定義、さらには取引相手の探索まで、広範囲な機能をカバーしています。ただし、ebXML自体は伝票の具体的なフォーマットは規定しておらず、UBL（Universal Business Language）やRosettaNet PIPなどの既存の標準、あるいは企業が独自に定めるフォーマットを利用します。

歴史

ebXMLの開発は、1999年にUN/CEFACT|UN_CEFACT（国際連合貿易円滑化電子ビジネスセンター）とOASIS（構造化情報標準促進協会）が共同で開始したebXML Initiativeによって進められました。2001年には主要な仕様の初版が公開され、その後の電子商取引の標準化に大きな影響を与えました。

初期のプロジェクトでは、以下の5層からなるデータ仕様を想定していました。

1. 企業間取引プロセスの記述: 取引における手順やルールを定義します。
2. 取引企業の能力および合意の記述: 参加企業の能力や合意事項を記録します。
3. 取引伝票の構成要素のモデル: 伝票を構成する要素をモデル化します。
4. メッセージ伝送: メッセージの送受信方法を規定します。
5. 企業情報の登録簿（レジストリとリポジトリ）: 企業情報や取引に関する情報を管理します。

ebXML Initiativeは初期仕様の完成をもって解散しましたが、各仕様はUN/CEFACT|UN_CEFACTとOASISによって継続的に維持・改版が行われています。UN/CEFACT|UN_CEFACTはCore Componentsのようなビジネスよりの仕様を、OASISはMessage ServiceのようなITよりの仕様を担当しています。

両組織による6つの主要な仕様が完成した後、ISO（国際標準化機構）のTC154に提出され、ISO 15000として承認・出版されました。ISO 15000は以下のパートに分かれています。

ISO 15000-1: ebXML Collaboration Protocol Profile and Agreement (ebCPP)：取引相手との間で利用するプロトコルや合意内容を定義します。
ISO 15000-2: ebXML Message Service Specification (ebMS)：メッセージの送受信に関する仕様を定めます。
ISO 15000-3: ebXML Registry Information Model (ebRIM)：レジストリに登録される情報のモデルを定義します。
ISO 15000-4: ebXML Registry Services Specification (ebRS)：レジストリへのアクセスや操作方法を定めます。
ISO 15000-5: ebXML Core Components (CCS)：ビジネスデータ交換における基本的な要素を定義します。

OASISとUN/CEFACT|UN_CEFACTは、これらの仕様の更なる進化と発展に引き続き責任を負っています。

関連技術

ebXMLは、以下の技術や標準と密接な関連があります。

Webサービス: ebXMLのメッセージ送受信は、SOAPなどのWebサービス技術を用いることがあります。
メタデータ: ebXMLレジストリは、取引に関するメタデータを管理します。
RosettaNet: 電子部品業界を中心に利用されているB2B標準で、ebXMLと併用されることがあります。
電子データ交換 (EDI): ebXMLはEDIの進化形と見なされることもあります。
Universal Description, Discovery and Integration (UDDI): Webサービスを公開・検索する技術で、ebXMLのレジストリに類似した機能を提供します。
Universal Business Language (UBL): ebXMLの伝票フォーマットとして利用されることがあります。
UN/CEFACT|UN_CEFACT Modelling Methodology: UN/CEFACT|UN_CEFACTが提唱するモデリング手法で、ebXMLの設計にも影響を与えています。

外部リンク

ebXML - Enabling A Global Electronic Market
OASIS
UN/CEFACT|UN_CEFACT
ebXML Asia Committee

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