Egomaniac feedback

egomaniac feedback

『egomaniac feedback』（エゴマニアック フィードバック）は、ロックバンド・凛として時雨のフロントマンであるTKが、ソロプロジェクト「TK from 凛として時雨」としてリリースしたキャリア初のベストアルバムです。ソロ活動開始から10周年を迎えた2021年の節目に、10月13日にソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズより発売されました。

このアルバムはCD2枚組で構成され、合計27曲が収録されています。DISC 1には、ソロプロジェクトを代表する楽曲が集められています。アニメ『東京喰種トーキョーグール』のオープニングテーマとして絶大な人気を博した「unravel」や、映画『スパイダーマン:スパイダーバース』日本語吹き替え版の主題歌に起用された「P.S. RED I」といったタイアップ楽曲、シングル表題曲、そしてライブで欠かせない定番曲やファンの間で人気の楽曲が収録されています。また、TKのライブ開演前に流れるSEとして知られる「kanazawan」も収められており、ソロワークスの歩みを網羅した内容となっています。

一方、DISC 2は、過去10年間に行われた様々なアーティストとのコラボレーション楽曲を中心に構成されています。ヨルシカのボーカル・suisを迎えた「melt」などが収められているほか、このアルバムのために新たに制作された新曲4曲も収録されています。なお、収録曲の一部は、TK自身によって改めてミックスが施されています。

ベストアルバムのために書き下ろされた新曲は以下の4曲です。

will-ill: 2021年10月から放送されたテレビアニメ『15周年 コードギアス 反逆のルルーシュ』の新たなエンディングテーマとして書き下ろされました。アルバム発売と同日にシングルとしてもリリースされ、アニメのビジュアルを用いた完全限定盤CDが発売されています。楽曲のミュージックビデオも制作され、10月15日に公開されました。
Future Tone Bender (with milet): シンガーソングライターのmiletをゲストボーカルに迎えたロックナンバーです。TKとmiletの初対面時にmiletが「ロックな曲をやってみたい」と語ったことがきっかけで楽曲制作が始まりました。ギターの歪んだサウンド、特にトーンベンダー系のファズを用いたオルタナティブな雰囲気に、アッパーなビートが融合。TKとmiletによるボーカルの掛け合いが聴きどころであり、特にmiletの存在感ある歌声やネイティブな英語の発音が印象的です。発売に先立ち、10月7日放送のJ-WAVE「SONAR MUSIC」で初オンエアされました。ミュージックビデオはTKにとって初のフルCG作品として、クリエイティブエージェンシー「SIGNIF」が約3ヶ月をかけて制作。楽曲の世界観を映画のようなスケールで表現しています。
Super bloom (with 阿部芙蓉美): 阿部芙蓉美がゲストボーカルとして参加。壮麗なストリングスと美しいピアノの旋律が特徴的な楽曲で、生命の躍動を感じさせるようなサウンドに、阿部芙蓉美の優しく包み込むような歌声が寄り添います。歌詞はTKと阿部芙蓉美の共作であり、楽曲全体のムードを深めています。この楽曲のミュージックビデオも制作され、10月13日にYouTubeでプレミア公開されました。
掌の世界 (with 斎藤宏介 from UNISON SQUARE GARDEN): TKが2013年にSMAPへ提供した楽曲を、自身でセルフカバーした音源です。UNISON SQUARE GARDENおよびXIIXのボーカル・ギターである斎藤宏介がゲスト参加し、ボーカルとギターを担当しています。TKのソロ作品において、男性ボーカリストをゲストに迎えるのはこれが初めてのことでした。アルバム収録発表に先立ち、2021年9月28日放送のJ-WAVE「THE KINGS PLACE」（斎藤宏介がナビゲーターを務める番組）にて初めてオンエアされました。

本作は通常盤と初回生産限定盤の2形態でリリースされました。初回生産限定盤に付属するBlu-rayディスクには、これまでに制作された全てのミュージックビデオが収録されているほか、現在では入手困難となっている2011年発表のソロデビュー作品『film A moment』の映像も再収録されています。さらに、2021年7月17日にWOWOWで放送されたライブ番組「TK from 凛として時雨 10th Anniversary Session presented by WOWOW」の本編映像も収められています。このライブ映像は、放送版にドキュメンタリーパートの追加や再編集が加えられ、全曲にマスタリングが施された決定版と言える内容となっています。加えて、初回生産限定盤にはスペシャルヒストリーや撮り下ろしフォトブックレットも付属し、ソロ10周年の記念碑的なアイテムとなっています。

アルバムの発売は2021年7月16日に発表され、同時にアルバム名を冠した東名阪ツアー「TK from 凛として時雨 egomaniac feedback tour 2021」の開催も告知されました。収録内容については、8月5日に一部が先行発表され、8月27日には全貌が明らかになりました。当初名前が伏せられていたコラボレーションアーティストの情報は、9月28日と10月2日の二度に分けて解禁されています。

ツアー「egomaniac feedback tour 2021」は、アルバム発売を記念して東名阪3箇所で開催されました。特にツアーファイナルは、TK自身思い入れが深いという東京国際フォーラム・ホールAで行われました。ライブのセットリストは、アルバム収録曲を中心に構成されつつも、レアなナンバーも披露されるなど、アルバムとは対照的な趣向が凝らされました。この東京国際フォーラム・ホールA公演の模様は、後に2022年4月20日にリリースされたライブ映像作品『feedback from』に収録されています。

最終公演となった東京国際フォーラム・ホールAでのライブは、音楽ナタリーやリアルサウンドなど複数のメディアによってライブレポートが掲載されています。当日のバンドメンバーは、ベースに吉田一郎不可触世界、ドラムにBOBO、キーボードにちゃんMARI（ゲスの極み乙女。、ichikoro）、ヴァイオリンに須原杏、チェロに内田麒麟という編成でした。ライブはアニメ『東京喰種トーキョーグール：re』OPテーマの「katharsis」で幕を開け、本編終盤に向けてパフォーマンスは熱を帯び、「Abnormal trick」「flower」などが続けざまに演奏されました。ライブ中盤では椅子に座り、ハンドマイク一本で「罪の宝石」をストリングスと鍵盤のみをバックに歌唱するなど、緩急をつけた構成でした。「unravel」「Fantastic Magic」「Shandy」といった代表曲が披露された後、本編は最新曲「will-ill」で締めくくられました。アンコールの拍手に応えて再びステージに登場したTKは、「最終日なので、新曲をもう一度やります」と述べ、「will-ill」を再び演奏。さらに「Super bloom」「P.S. RED I」も披露されました。鳴りやまない拍手の中、ダブルアンコールに応えたTKは、ファンへの感謝とともに10年のソロ活動や来たる凛として時雨の結成20周年について触れ、「飛び込まなければ見えないこともあるんだな。こうして皆さんが聴きに来てくれていることが、とても嬉しいです」と率直な気持ちを語りました。そして、ソロ初の作品のタイトル曲である「film A moment」でこの記念すべきライブは幕を閉じました。ライブ終演後には、凛として時雨の新たな全国ツアー「DEAD IS ALIVE TOUR 2022」の開催がサプライズ発表されました。

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