Em (単位)

em (エム)とは

emとは、主に欧文組版で使用される長さの単位です。和文組版における全角幅とほぼ同じ概念と考えてください。その名称は、大文字の「M」の字形に由来しており、活字の「M」が縦横の空間を最大限に占めることにちなんでいます。ただし、現代のフォントでは、必ずしも大文字の「M」の幅とemが一致するわけではなく、フォントごとに特定の値が定められています。

emの対義語としては、en（エン）という単位があります。

全角ダッシュ（em-dash）は、文章の中で区切りを示す際に用いられます。

コンピュータにおけるem

CSSやTeXなどの環境では、寸法の指定に絶対単位（ポイントやピクセル数など）と相対単位を用いることができます。emは、この相対単位に分類されます。

画面表示においては、相対単位で指定することで、フォントの拡大・縮小に柔軟に対応させることが可能です。Webコンテンツのアクセシビリティガイドライン（WCAG）では、テキストのリサイズを可能にすることが求められており、emのような相対単位での指定が推奨されています。CSSにおけるemは、要素ごとに異なる場合があります。そのため、ルート要素のフォントサイズを基準とする場合は、2013年に導入されたremという単位が利用されます。

TeXにおいては、「---」という記述で全角ダッシュを表現します。また、全角アキを挿入する場合には、`\quad` コマンドを使用します。

[Unicode]]には、em幅が指定された文字として、U+2001（EM QUAD）、U+2003（EM SPACE）、U+2014（EM DASH）などが存在します。特に、EM DASHはWindows-1252コードページにも定義されており、頻繁に使用されます。日本のJIS X 0208で定義されている区点1-29（ダッシュ (全角)）の記号との対応については、[ダッシュ (記号) - 全角ダッシュのマッピング問題#%E5%85%A8%E8%A7%92%E3%83%80%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B0%E5%95%8F%E9%A1%8C)を参照してください。

参考文献

ドナルド・E. クヌース、鷺谷光輝 訳『TeXブック コンピュータによる組版システム』アスキー、1989年

関連項目

書体
en (単位))

外部リンク

<length> - MDN Web Docs

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