Energy Efficient Ethernet

Energy Efficient Ethernet (EEE) とは

Energy Efficient Ethernet（EEE）は、「電力効率の良いイーサネット」を意味し、イーサネットにおける省電力化のための拡張機能の一つです。この技術は、ネットワークの通信量が少ない期間に電力消費を抑えることを目的としており、2010年9月にIEEE 802.3azとして標準化されました。EEEは、特にデータセンターやオフィス環境におけるエネルギー効率の向上に貢献しています。

EEEの動作原理

通常のイーサネットでは、物理層デバイス（PHY）はデータフレームを送信していない時でも、常にアイドル信号を送信し続けています。EEEでは、このアイドル信号の送信を停止または特殊な信号に置き換えることで省電力を実現します。

データリンク層から省電力動作の要求を受けたPHYは、以下の3種類の信号を使用して動作します。

1. スリープ信号: 一定期間、伝送路上にスリープ信号を送信します。対向のPHYからもスリープ信号が送信されてきた場合、省電力モードに移行し、送信動作を停止します。
2. リフレッシュ信号: 省電力モード中でもリンクを維持するために、定期的にリフレッシュ信号を送信します。
3. ウェイク信号: 通常の送信動作を再開する際に、一定時間ウェイク信号を送信して省電力モードを解除します。

これらの信号の実装やタイミングは、各物理層規格によって規定されており、省電力モードへの移行と復帰時にデータフレームの損失が発生しないように設計されています。例えば、1000BASE-T規格では、スリープ時に182～202マイクロ秒のLPI（Low Power Idle）信号、リフレッシュ時に20～24ミリ秒間隔で198～218.2マイクロ秒のLPI信号、ウェイク時に16.5マイクロ秒のアイドル信号が使用されます。

EEEは、以下の伝送媒体と規格でサポートされています。

100BASE-TX
1000BASE-T
10GBASE-T
10GBASE-KR
40GBASE-KR4
100GBASE-KR4
100BASE-T1

機器が接続される際、オートネゴシエーションによってEEEの設定が相互に通知され、両方の機器でEEEが有効になっている場合に省電力モードが動作します。

25Gbps以上の高速通信規格では、省電力モード中に送信を完全に停止するのではなく、通常のアイドル信号の代わりに特殊なシンボル（fast wake信号）を送信し続けることが求められる場合があります。このfast wake信号のパラメータは、LLDP（Link Layer Discovery Protocol）を介して交換されます。

グリーンイーサネット

EEE規格の策定以前から、省電力機能を実装した製品は存在しており、EEE以外の省電力機能を含めて「グリーンイーサネット」と呼ばれています。以下に代表的なベンダ固有の省電力機能を紹介します。

LANポートの電源制御: リンクが確立されていない、または受信信号がないLANポートの電源をオフにして、スタンバイ状態に移行します。
* ケーブル長に応じた電力調整: 接続されたケーブルの長さを測定し、その長さに応じて送信に使用する電力を調整します。イーサネット規格では通常、最大100メートルのLANケーブル接続が可能ですが、実際には数メートルの配線で済む場合が多いため、この機能は特に有効です。また、短距離接続時に送信電力を下げることで、漏話が減少し、通信品質が向上するというメリットもあります。

その他、イーサネットICの内部高効率回路、ネットワークサーバー製品のオフロードエンジン機能、無線ルーターの無線停止期間設定なども、グリーンイーサネットに関連する省電力機能として挙げられます。

まとめ

EEEはイーサネットの省電力化に貢献する重要な技術であり、グリーンイーサネットという概念の下で、さまざまな省電力機能と組み合わせて使用されています。これらの技術は、データセンターやオフィス環境において、エネルギー効率の向上と運用コストの削減に貢献します。また、ケーブル長に応じた電力調整機能は、通信品質の向上にも寄与します。

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