Enigma (松本孝弘のアルバム)

松本孝弘 11thオリジナルアルバム『enigma』

B'zのギタリスト、松本孝弘が2016年にリリースした11枚目のオリジナルアルバム『enigma』は、前作『New Horizon』から約2年ぶりとなる作品です。前作とは対照的に、ロックサウンドを前面に押し出したアルバムとなっています。

制作背景

本作のレコーディングは、2015年初夏にB'zのツアーの合間を縫って開始されました。松本は楽曲制作において、B'zの活動時もソロ活動時も、特にテーマやコンセプトを定めることはせず、出来上がった曲から順にレコーディングを進めるスタイルをとっています。しかし、今作では、これまでとは少し異なり、あるテーマを持って制作に臨んだとのことです。

そのテーマとは、「ミュージシャンとしてキャリアを重ねてきた中で、自分自身は本当に成長しているのか、それにふさわしい楽曲や演奏ができているのだろうか」という問いでした。松本は、自身の音楽を通じて、これまでのキャリアを音で表現したいと考え、楽曲制作を進めていく中で、最初に完成した楽曲「enigma」が、アルバム全体の核となるテーマを象徴していることに気づいたそうです。

アルバムタイトルを『enigma』とした理由について、松本は、楽曲「enigma」のボーカルセクションに出てくる言葉が、アルバム制作中に探し求めていたテーマを表現していると感じたからだと語っています。言葉の意味については、「日本語に直訳するとロマンチックではなくなってしまう」という理由から説明を避けています。

収録曲の多くはインストゥルメンタルですが、数曲にはアメリカの歌手マーク・レンクによるボーカルパートが含まれています。当初、松本はボーカルを入れる予定はなかったものの、制作を進める中で書き留めていた言葉を使用することにしたとのこと。作詞には、本作のプログラミングを担当した村山晋一郎が補作詞という形で参加しています。

リリース形態

アルバムは、通常盤（CDのみ）と初回限定盤（CD+DVDまたはCD+Blu-ray）の2形態でリリースされました。
初回限定盤には、2014年に開催されたツアー「Tak Matsumoto LIVE 2014 -New Horizon-」から、ブルーノート東京での最終公演の模様が収録されています。

収録曲

1. enigma
アルバムタイトル曲であり、アルバム制作で最初にレコーディングされた楽曲。松本は、この曲がアルバムのメインテーマであり、制作中に掲げていたテーマの核であると語っています。
2. Vermillion Palace
TBS系「世界遺産」のオープニングテーマとして書き下ろされた楽曲。変拍子が特徴的で、「Vermillion」は朱色を意味し、日本独特の色として選ばれたとのこと。
3. Step to Heaven
フライングVのみでレコーディングされた楽曲。
4. Ups and Downs
ザ・ミュージアム「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」のイメージソング。
5. Rock The Rock
グレッグ・ベイルのサックスソロがフィーチャーされた楽曲。
6. Drifting
モノローグのような歌詞が特徴的で、松本自身の「本当にまともな大人になっているのか」という問いかけがテーマになっている。
7. The Voyage
ツアータイトル曲であり、人生を振り返る意味が込められている。
8. Hopes
マーク・レンクのボーカルがフィーチャーされた楽曲。「いいことがたくさんあるといいな」というイメージで制作された。
9. Under The Sun
マーク・レンクのボーカルを前提に制作された楽曲。
10. Dream Drive
本作で2番目に完成した楽曲。最初に完成した「enigma」とは曲風が大きく異なる。
11. The Rock Show
「Step to Heaven」同様、フライングVのみでレコーディングされた楽曲。
12. Roppongi Noise
『TAKE YOUR PICK』の「Tokyo Night」の続きのような楽曲で、実際の六本木の雑踏の音を使用している。
13. Mystic Journey
TBS系「世界遺産」のエンディングテーマとして書き下ろされた楽曲。
14. enigma 〜epilogue〜
1曲目の「enigma」のアレンジバージョン。ウッドベースが使用されている。
15. #1090 〜Million Dreams〜
テレビ朝日系「ミュージックステーション」の4代目テーマソングを再録したボーナストラック。原曲のトラックを使いつつ、生ベースとドラムが加わっている。

初回限定盤 映像ソフト

初回限定盤には、2014年に開催された「Tak Matsumoto LIVE 2014 -New Horizon-」から、ブルーノート東京での最終公演の模様が収録されています。収録内容は以下の通りです。

1. New Horizon
2. Take 5
3. BLUE
4. 華
5. Tokyo Night
6. Shattered Glass
7. 学生街の喫茶店
8. Island of peace
9. That's Cool
10. 月のあかり
11. Reason to be...
12. GO FURTHER
13. #1090
14. The Moment
15. Rodeo Blues

タイアップ

TBS系「世界遺産」オープニングテーマ（#2）
「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」イメージソング（#4）
TBS系「世界遺産」エンディングテーマ（#13）
テレビ朝日系「ミュージックステーション」テーマソング（#15）

参加ミュージシャン

松本孝弘をはじめ、寺地秀行、村山晋一郎、ブライアン・ティッシー、ジェイソン・サター、シェーン・ガラースなど、多くのミュージシャンが参加しています。各楽曲で様々な楽器の演奏が聴けるのも、このアルバムの魅力の一つです。

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