ブライアン・ティッシー

ブライアン・ティッシー：多才な音楽家の軌跡

ブライアン・ティッシー（Brian Tichy、1968年8月18日 - ）は、アメリカ合衆国出身のドラマーであり、その活動はドラム演奏に留まらず、ギター、ベースの演奏、ソングライティング、プロデュースと多岐にわたります。

音楽的ルーツと人物像

8歳でドラムを始め、12歳でギターも手にしたティッシーの音楽的影響は、KISSのピーター・クリスから始まり、レッド・ツェッペリン、アイアン・メイデンのニコ・マクブレイン、エアロスミス、AC/DC|AC_DC、ヴァン・ヘイレンなど、幅広いジャンルのアーティストに及びます。彼の姓「Tichy」は、チェコ・スロバキア語で「サイレント」を意味するという背景も持っています。

多岐にわたる音楽活動

ドラマーとしては、ホワイトスネイク、ビリー・アイドル、フォリナー、サス・ジョーダン、オジー・オズボーン、スラッシュズ・スネイクピットといった著名なバンドやアーティストとの活動で知られています。日本においては、B'zや松本孝弘のプロジェクトTMGへの参加、2019年にはB'zのライブツアー「B'z LIVE-GYM 2019 -Whole Lotta NEW LOVE-」にサポートドラマーとして参加するなど、幅広い活躍を見せています。

バークリー音楽大学に在籍後、ビリー・アイドルの作品とツアーに参加し、その後もオジー・オズボーン、シーザー、ヴェルヴェット・リヴォルヴァー、フォリナー、プライド&グローリー、グレン・ヒューズ、サス・ジョーダン、スラッシュズ・スネイクピット、チャイナ・レイン、ホワイトスネイク、そして最近ではザ・デッド・デイジーズなど、様々なアーティストと共演しています。2015年には、オペレーション：マインドクライムとザ・デッド・デイジーズの正式メンバーとなりました。

自身のバンド「ボール」と創作活動

様々なアーティストとのレコーディングやツアーをこなしつつ、自身のバンド「ボール (Ball)」ではボーカルとギターを担当。レーベルの消滅によりアルバム『American Aggression』が公式リリースされなかったものの、その後、日本限定でアルバム『ザ・グランド・ヒューマン・ディザスター・シナリオ』をリリースしました。2003年末頃からはビリー・アイドルとの共同作曲に注力し、自身のバンド活動は一時的に縮小しました。

ビリー・アイドルとの共作

1993年以降、ビリー・アイドルとの共同作曲は、アイドルの音楽に新たな刺激を与えました。アルバム『デヴィルズ・プレイグラウンド』（2004年）では、8曲がティッシーとの共作となっています。2006年にはクリスマスアルバムの制作を共同で行い、ティッシーはドラム、ギター、ベース、エンジニア、共同プロデューサーとしてマルチな才能を発揮しました。

フォリナーでの活動

フォリナーには、1998年から2000年、そして2007年から2010年まで在籍し、アルバム『キャント・スロー・ダウン』にも参加。2011年と2012年には、メンバーの代役としてライブに参加しました。

近年のプロジェクト

2007年にはシーザーの穴埋めとして参加。2009年春までフォリナーのツアーに参加後、ビリー・アイドルとの長年の関係を終えました。その後、テレビや映画音楽の作曲や、ヨーロッパの女性メタル歌手マーリヤ・ロックスのレコーディングにも参加。2010年には、レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムの追悼企画を制作。2011年には、S.U.N. (Something Unto Nothing) を結成し、ギタリストとして活動。2014年にはSweet & Lynchに加入しました。

ホワイトスネイクへの加入と脱退

2010年6月、ホワイトスネイクの新ドラマーとして発表されましたが、2013年1月に脱退し、S.U.N.に注力しました。

スピードバッグへの情熱

フォリナー在籍中からスピードバッグの愛好家となり、高度な技術を持つハードパンチャーとしても知られています。ツアー中にスピードバッグのウォールセットを設置し、ツアー先で愛好家たちと交流を深めました。YouTubeでは、音楽に合わせたリズミカルなパンチングスキルを公開し、フィットネスと楽器としての可能性を追求。2012年には、VH-1クラシックの番組で、スピードバッグを楽器として紹介し、注目を集めました。

ディスコグラフィー

以下に、ブライアン・ティッシーが参加した主なアルバムをまとめます。

リーダー・アルバム

Merry Tichmas - An Instrumental Christmas LP (2019年)

ボール

ザ・グランド・ヒューマン・ディザスター・シナリオ (1999年) ※日本限定
トラップド・ライク・ア・ラット (1999年) ※EP
American Aggression (2000年) ※BrianTichy.com 限定
A Study in Persistence (2001年) ※BrianTichy.com 限定
Bleed Defeat (2003年) ※BrianTichy.com 限定

S.U.N. (Something Unto Nothing)

Something Unto Nothing (2012年)

参加アルバム

ザ・デッド・デイジーズ: Face I Love (2014年), Make Some Noise (2016年), Radiance (2022年)
ビリー・アイドル: Devil's Playground (2005年), Happy Holidays (2006年), The Very Best of Billy Idol: Idolize Yourself (2008年)
デレク・シェリニアン: Black Utopia (2003年), Mythology (2004年), Blood of the Snake (2006年), Molecular Heinosity (2009年)
ケニー・ウェイン・シェパード: The Place You're In (2004年)
ギルビー・クラーク: Rubber (1998年), Swag (2001年), Gilby Clarke (2007年)
ヴィニー・ムーア: Out of Nowhere (1996年)
アナ・シデル: A Solas... (2005年) ※8曲録音
スティーヴィー・サラス: The Electric Pow Wow (1993年), Back From The Living (1994年), 12 Hits And A Bump (1995年), Anthology 1987-1994 (1996年), Le Bootleg (Live in Paris) (1997年), Mas Feedback (1997年), The Sometimes Almost Never Was (1998年), Sol Power (1999年), Shapeshifter - The Rise And Fall of Stevie No Wonder (2001年)
プライド・アンド・グローリー: Pride & Glory (1994年)
B'z: juice (2000年), ELEVEN (2000年), BIG MACHINE (2003年), THE CIRCLE (2005年), NEW LOVE (2019年), SLEEPLESS (2022年), Highway X (2022年)
TMG: TMG I (2004年)
サス・ジョーダン: Rats (1994年)
ショウ・ブレイズ: Influence (2007年)
ジャック・ブレイズ: Rock 'N Roll Ride (2012年)
ホワイトスネイク: Forevermore (2011年), Made in Japan (2013年)
その他、多数のアーティストの作品に参加

マスターソースでの活動

2000年以降、マスターソースのチーフ・ロック・ソングライターとして、TVや映画に楽曲を提供しています。

参加ライブ・ツアー

1991年から現在に至るまで、数多くのライブツアーに参加しています。

ヴィニー・ムーア (1991-1992年)
サス・ジョーダン (1994年)
プライド・アンド・グローリー (1994年)
スラッシュズ・スネイクピット (1995年)
ニッケルバッグ (1996年)
フォリナー (1998-2000年)
オジー・オズボーン (2000年)
グレン・ヒューズ (2001年)
ビリー・アイドル (2001年-)
ヴェルヴェット・リヴォルヴァー (2005年)
フォリナー (2006-2007年)
シーザー (2007年)
ゲス・フー (2010年)
Bonzo, The Groove Remains the Same (2010年)
S.U.N. (Something Unto Nothing) (2013年)
ジェフ・テイト (2013,2014年)
ジーン・シモンズ・バンド (2024年)

まとめ

ブライアン・ティッシーは、ドラマーとしての確かな技術に加え、多岐にわたる音楽的才能を持つ、稀有なアーティストです。彼の幅広い活動は、今後も多くの音楽ファンを魅了し続けるでしょう。

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