Eudora

Eudora（ユードラ）

Eudoraは、クアルコムが提供した電子メールクライアントであり、初期のパーソナルコンピュータ環境において長い間愛用されてきました。このソフトウェアは、特にMacintoshユーザーに支持され、さまざまな展開を経て、多くのユーザーに親しまれました。

歴史的背景

Eudoraは1988年に、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のスティーブ・ドーナーによって開発されました。当初はMacintosh向けのフリーウェアとしてリリースされ、その名は著名な作家ユードラ・ウェルティに由来しています。彼女の短編小説「Why I Live at the P.O.」がインスピレーションとなり、スローガンである「Bringing the P.O. to Where You Live」もこの作品にちなんでいます。

1991年には、クアルコムがEudoraを買収し、これによりソフトウェアは商用化されました。ユーザーには機能が限定された無料版（Light版）とフル機能の有料版（Pro版）が提供され、さらに後に広告表示によって無料でフル機能を利用できるスポンサーモードも追加されました。最後の商用リリースとなる「Eudora 7.1 for Windows」と「Eudora 6.2.4」（Mac OS X版）は、2006年に公開され、その後Eudoraの権利はコンピューター歴史博物館に移管され、2018年にBSDライセンスの下でソースコードが公開されました。

日本語版の展開

日本におけるEudoraも独自の歴史を持っています。初めに、北陸先端科学技術大学院の教授篠田陽一が、Eudoraのバージョン1.2.2を日本語化し、フリーウェアとして配布しました。その後、アシックスの中田了がバージョン1.3.1をベースに機能を拡張した「Eudora-J」を開発しました。1995年には株式会社クニリサーチインターナショナルから、商用版の最新バージョンが日本語化されて発売され、以降も続々と新バージョンがリリースされました。特に、2000年には「Eudora Pro v4.3.1-J」がリリースされ、スポンサードモードやライトモードが導入され、ユーザーはより柔軟に利用できるようになりました。しかし、2007年にすべてのサポートが終了するまで、様々な変遷を経てきました。

Eudora OSEの展望

Eudora OSE（Open Source Edition）は、Mozilla FoundationのPenelopeプロジェクトを通じて開発された、次世代のEudoraとしての位置づけでした。2006年に次期バージョンの計画が発表され、複数のベータ版が随時リリースされました。これにより、Mozilla Thunderbirdと同じテクノロジープラットフォームを利用することができ、ユーザーは新しい機能や使いやすさを享受できるようになりました。しかし、2013年にはMozillaが公式にEudoraの開発は終了し、最新のThunderbirdの利用を推奨する声明を発表しました。結果として、Eudora OSEは古いバージョンという位置付けになり、2015年にはダウンロードサイトも閉鎖されました。

結論

Eudoraは、その長い歴史を通じて、パーソナルメール管理ソフトウェアの先駆けとして、多くのユーザーに支持されてきました。クアルコムの買収や日本語版の展開など、さまざまな経緯を持ちながらも、今日でもその名を知られています。Eudora OSEの開発が続かなかったことは残念ですが、Eudoraの影響は今後も記憶され続けることでしょう。

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