Mozilla Foundation

Mozilla Foundation（モジラ・ファウンデーション）とは

Mozilla Foundation（以下、ファウンデーション）は、オープンソースプロジェクトであるMozillaを支援するために設立された非営利団体です。略称はMoFoまたはMF。Mozillaプロジェクトの方針決定、インフラ整備、商標・知的財産権の管理などを主な活動としています。また、Mozilla FirefoxやMozilla Thunderbirdといった主要なソフトウェアの開発・リリースを担うMozilla Corporation（以下、コーポレーション）を子会社として抱えています。ファウンデーションはアメリカ合衆国カリフォルニア州マウンテンビューに拠点を置いています。

歴史

1998年2月23日、Netscape Communications Corporation（以下、Netscape）は、Mozilla Application Suiteの開発を支援するため、Mozilla Organization（以下、オーガニゼーション）を設立しました。オーガニゼーションは、Netscapeの社員を中心に構成されていましたが、Netscapeから独立して運営されるという原則がありました。当初、オーガニゼーションは「Mozillaはテスト目的のものであり、エンドユーザーが利用するものではない」という立場でした。

この方針が、Beonex Communicatorというブラウザの開発のきっかけとなります。Beonex Communicatorは、オーガニゼーションがプロジェクトを進めている間、Mozillaの「エンドユーザー版」としてリリースされていました。しかし、実際には多くのエンドユーザーが「正式な」Mozillaのビルドをダウンロードしていました。

その後、Netscapeの親会社であるAOLによるオーガニゼーションとの関係縮小に伴い、2003年7月15日、Mozilla Foundationが設立されました。これにより、MozillaはNetscapeとの関係を完全に断ち切ることになりました。AOLはファウンデーション設立にあたり、ハードウェアや知的財産権を委譲したほか、移行を支援するため3ヶ月間、3人のチームを派遣し、2年間で200万ドルの寄付を約束しました。

Mozilla Corporation

2005年8月3日、ファウンデーションは完全子会社としてMozilla Corporationを設立しました。コーポレーションは、主にFirefoxやThunderbirdのリリース計画、マーケティング、関連活動を担当することになりました。また、企業との連携も深め、大きな収益を上げるようになりました。コーポレーションは課税対象の法人であり、ファウンデーションとは異なり、収益や企業活動の面でより大きな自由度を持っています。

業務内容

ファウンデーションの設立当初、外部への支払額はオーガニゼーション時代と比較して大幅に増加しました。これは、オーガニゼーションがこれまでNetscapeや他のMozilla技術のベンダーに委託していた業務をファウンデーションが引き継いだためです。

開発者からエンドユーザーへの焦点のシフトに伴い、ファウンデーションは広告会社と提携し、Mozillaソフトウェアを同梱したCDの販売や電話サポートを開始しました。これらのサービスは、Netscape時代と同じ業者が担当しました。また、ファウンデーションは「Mozilla」の商標やロゴの使用に関する方針を明確化し、自社の知的財産権に対する主張を強化しました。さらに、マーケティングなどの新しいプロジェクトも開始しました。

コーポレーション設立後は、開発や商業活動のすべてがコーポレーションに委任され、ファウンデーションは「製品化されていない」CaminoやSeaMonkeyなどのプロジェクトの管理に注力するようになりました。また、ファウンデーションはMozillaの商標と知的財産権を所有し、それらをコーポレーションにライセンス供与しています。さらに、Mozillaのソースコードリポジトリを管理し、チェックイン権限の付与も行っています。

財源

ファウンデーションの主な資金源は寄付です。設立時には、AOLから200万ドル、ミッチ・ケイパーから30万ドルの寄付を受けました。ファウンデーションはアメリカ合衆国国税収入局規約501(c)3に基づき、連邦所得税の免除を受けていますが、子会社であるコーポレーションは課税対象です。

また、ファウンデーションはGoogleと契約を結び、Mozilla Firefoxの検索エンジンのデフォルト設定をGoogle検索にしています。さらに、FirefoxのデフォルトホームページもGoogleの検索サイトに設定されています。これらの契約による収益の総額は公式には公表されていません。

人物

ファウンデーションの理事会は、以下の7人で構成されています。

ミッチェル・ベーカー - 理事長
ブライアン・ベーレンドルフ
ブレンダン・アイク
伊藤穰一
ボブ・リスボン
ミッチ・ケイパー
カール・マラムード

当初、クリストファー・ブリザードが理事を務めていましたが、コーポレーション設立に伴い、コーポレーションの理事会に異動したため、伊藤穰一が後任として理事を務めています。ボブ・リスボンとカール・マラムードは2006年10月に理事に選任されました。

ファウンデーションには、プロジェクトや方針に関する問題に対処する有給スタッフがいます。コーポレーションにも多数の職員がおり、その多くはコーポレーション設立以前にファウンデーションで働いていた人々です。

Mozillaプロジェクトは、伝統的にmozilla.orgと呼ばれるコミュニティによって運営されてきましたが、コミュニティメンバーの中には、ファウンデーションやコーポレーションの理事や職員となった人も多くいます。

その他

2006年、OpenBSDのテオ・デ・ラート氏の要請を受け、ファウンデーションはOpenBSDに対してGoogleからの収益の一部から1万ドルの寄付を行いました。これはOpenBSDが開発したOpenSSHに対する感謝の意を表したものです。この要請は、OpenSSHを組み込んだ製品を販売しながら寄付を行っていないシスコシステムズ、IBM、ヒューレット・パッカード、レッドハットなどの企業を対象としたものでしたが、ファウンデーションはOpenSSHを使用していないにもかかわらず、開発への感謝として寄付を行いました。

Mozilla Europe、Mozilla Japan、Mozilla Chinaは、Mozilla製品やプロジェクトの広報、普及を支援する非営利団体です。ファウンデーションからは独立していますが、ファウンデーションの公式アフィリエイト（支部）として活動しています。

参考資料

Mozilla Foundation（英語）

関連項目

Mozilla Firefox
Mozilla Thunderbird
Mozilla Corporation
オープンソース

もう一度検索