F型コネクタ

F型コネクタとは

F型コネクタは、主にテレビ放送を受信するためのRF端子として広く利用されています。地上波放送、ケーブルテレビ、衛星放送など、様々な放送形態で同軸ケーブルを接続するために使われており、テレビやレコーダーの背面、そして屋内の壁面などに設置されています。一般的には「アンテナ線」「アンテナ入力」「アンテナ端子」といった名称でも呼ばれています。

概要

F型コネクタは、テレビとアンテナを接続するための最も一般的なコネクタです。テレビやレコーダーにはメスのF型コネクタが備わっており、壁面にもアンテナと繋がるメスのF型コネクタが設置されています。両端にオスのF型コネクタを持つ同軸ケーブルを用いることで、テレビと壁面、あるいはテレビとアンテナを直接接続し、テレビ放送を受信することができます。

このコネクタは1950年代初頭にEric E. Winstonによって開発され、当初はケーブルテレビの研究中に誕生しました。1970年代にはVHFテレビのアンテナ接続が同軸ケーブルに切り替わることで普及が進み、その後UHFやSHF（衛星放送）といった高周波帯域でも利用されるようになりました。

特徴

F型コネクタの主な特徴としては、以下の点が挙げられます。

安価であること：構造が比較的単純で、製造コストが低い。
75Ωのインピーダンス整合：最高1GHzまでの周波数帯で安定した信号伝送が可能。
数GHzまでの帯域幅：広い周波数帯域に対応し、様々な放送形態に対応。
簡易な構造：オスのコネクタのピンとして、同軸ケーブルの中心導体をそのまま利用するため、部品点数が少なく、安価に製造可能。

ただし、オスのコネクタは中心導体（銅線）をそのままピンとして使用するため、表面状態や腐食による影響を受けやすく、屋外での使用には防水処理が必要です。また、オスのコネクタは同軸ケーブルの外部導体（編組線）を剥き出しにした部分に押し込むか、ねじ止めすることでケーブルに固定します。ケーブル業界では現在、圧着工具を使用して接続することが一般的です。

構造

メスのF型コネクタの外周には、3/8-32の極細目のユニファイねじのねじ山が切ってあります。オスのコネクタは、これに対応する内側のねじ山を持つ接続リングで固定します。また、ねじ山がない差し込み式のオスも存在しますが、無線に対するシールド性能が低く、電波干渉の原因となることがあります。

F型コネクタは、ヨーロッパの地上波受信機で使われていたPALコネクタ（Belling-Lee connector）に比べて、特性が大幅に改善されています。

注意点

同軸ケーブルの中心導体をコネクタのピンとして利用する場合、銅線が酸化して酸化銅となり、接触不良を引き起こす可能性があります。高い信頼性が求められる場合には、コンタクトピンを備えた『C15形コネクタ』の利用が推奨されます。

関連情報

同軸ケーブル：F型コネクタと組み合わせて使用されるケーブル。
JEITA（電子情報技術産業協会）：F型コネクタに関する規格を定めている。
* F型コネクター（FP5）の取付方法：F型コネクタの取り付けに関する情報。

まとめ

F型コネクタは、テレビ放送受信に欠かせない重要な部品です。安価で扱いやすい一方で、構造上の注意点も存在します。この記事を通じて、F型コネクタに関する理解を深めていただければ幸いです。

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