F型主系列星

F型主系列星の詳細

F型主系列星は、スペクトル型がFで光度階級がVに分類される恒星です。これは、中心核で水素の核融合反応を起こしている段階の星であることを意味します。太陽の1.0倍から1.4倍の質量を持ち、表面温度は6000Kから7600Kの範囲にあります。この温度のため、F型星は黄白色に見えます。

主系列星は矮星とも呼ばれるため、「黄白色矮星」と表現されることもあります。宇宙空間での分布密度は、10万立方パーセクあたり約25個とされ、主系列星全体の約3%を占めています。有名な例としては、プロキオンA、おとめ座γ星A/B、そしてKIC 8462852などが挙げられます。

スペクトル標準星

恒星のスペクトル分類におけるF型主系列星の基準となる星（スペクトル標準星）は、時代とともに変遷してきました。1953年のジョンソンとモーガンの分類では多くの星が挙げられましたが、全てが現在も基準として用いられているわけではありません。

現在もF型星の定義として用いられる「アンカーポイント」には、おおぐま座78番星（F2V）とオリオン座π3星（F6V）があります。1973年には、モーガンとキーナンによって「ダガースタンダード」として、HR 1279（F3V）、HD 27524（F5V）、HD 27808（F8V）、HD 27383（F9V）、おとめ座β星（F9V）が加えられました。その他、HD 23585（F0V）、HD 26015（F3V）、HD 27534（F5V）も主要な標準星です。ヒアデス星団にあるHD 27524とHD 27534は、どちらもF5V型で、ほぼ同じ色と明るさを持っています。

1989年のGrayとGarrisonの研究では、高温のF型星に関する現代的な表が示されました。F1VとF7Vの標準星は、専門的な分類において変更があったものの、おおぐま座37番星（F1V）とうお座ι星（F7V）がよく用いられます。F4V型の標準星は明確には挙げられていません。

F9V型は、高温と低温の境界を定義づけており、どの恒星を境界とするかは研究によって異なっています。モーガンとキーナンは、1973年に、おとめ座β星とHD 27383をF9V型の標準星としましたが、キーナンとMcNeilは1989年にHD 10647をF9V型の標準星としています。また、カシオペヤ座η星は、1989年のキーナンの論文ではF9V型とされていますが、1978年のモーガンの論文ではG0V型とされています。

惑星系

F型主系列星の中には、太陽系外惑星を持つものがいくつか発見されています。例として、アンドロメダ座υ星、うしかい座τ星、HD 10647、HD 33564、HD 142、HD 60532、KOI-3010などが挙げられます。

居住可能性

F型星の周りの惑星における生命の存在可能性については、いくつかの研究で議論されています。F0型星のハビタブルゾーンは、恒星から2.0 auから3.7 auの範囲、F8型星では1.1 auから2.2 auの範囲と推定されています。

しかし、F型星はG型星（太陽など）に比べて放射線量が高く、寿命が短いという問題があります。特に、紫外線などの高エネルギーの光を多く放出するため、惑星の生命のDNA分子に悪影響を与える可能性があります。例えば、地球と同等の大気を持つ惑星がF型星のハビタブルゾーン内にある場合、地表の生命は地球の2.5倍から7.1倍の紫外線ダメージを受けると推定されています。

したがって、F型星の周りで生命が生存するためには、大気による十分な遮蔽（例えば、高層大気中のオゾン層など）が必要となると考えられます。

これらの情報を考慮すると、F型星は生命が存在する可能性を秘めているものの、その環境は非常に過酷である可能性が高いといえます。

もう一度検索