F-07C

富士通製Windows 7搭載携帯電話 F-07C：PCとモバイルの融合

F-07Cは、富士通がNTTドコモ向けに開発した、Windows 7 Home Premiumを搭載した革新的な携帯電話です。キャッチコピーは「パソコンが手のひらサイズに！」。スマートフォンのような外観ながら、パソコン用OSと従来の携帯電話用OS（MOAP(S)・Symbian OS）の両方を搭載し、用途に応じて切り替えて使用できる点が最大の特徴でした。ドコモのスマートフォンシリーズやPROシリーズには属さない、独自のコンセプトモデルとして位置付けられています。

ハードウェアとデザイン

FMV LOOXブランドを冠したF-07Cは、横スライド式のデザインを採用。4インチと小型ながら、600×1024ピクセルの高精細SVGA液晶ディスプレイと、マルチタッチ対応の静電容量式タッチパネルを搭載していました。QWERTY配列のキーボードとトラックボールも備え、快適な操作性を実現しています。

オペレーティングシステムと機能

端末側面のボタンで、Windows 7 Home Premiumと携帯電話用OSの切り替えが可能です。ただし、OSとCPUは独立しているため、iモードメールをWindows上で直接閲覧したり、Windowsで受信したメールをiモード画面で確認することはできません。しかし、microSDカードは共有できるため、写真や動画、OfficeファイルなどのデータはどちらのOSからもアクセス可能です。

Windows起動中にiモードメールを受信するとランプで通知され、通話やエリアメール着信時には自動的に携帯電話モードが起動し、Windowsはスリープ状態になります。

Windows 7モード

Windows 7 Home Premium 32ビット版 SP1を搭載し、PCとほぼ同等の機能を提供。Internet Explorer 9.0、Microsoft Silverlight、Adobe Flash Playerなどをプリインストールし、多くのウェブサイトを閲覧可能です。Microsoft Office Personal 2010（2年間ライセンス）も同梱されており、WordやExcelなどの作業も快適に行えます。

ストレージは32GBのフラッシュメモリに加え、最大32GBのmicroSDHCカード（microSDXCにも対応）が使用可能です。別売りのクレードルを使用することで、USBマウスやキーボード、外付けHDD、DVDドライブなどが接続でき、HDMI出力も可能です。

通信はFOMAハイスピードに対応しますが、mopera Uなどのプロバイダ契約が必要です。[Wi-Fi]にも対応し最大65Mbpsの高速通信が可能です。ただし、3GとWi-Fiの同時利用はできません。Bluetoothと赤外線は搭載されていますが、Windowsモードでは使用できません。GPSも携帯電話モードでのみ使用可能です。バッテリー駆動時間は約2時間です。Windowsモードでは内蔵カメラのみ利用可能です。

携帯電話モード

携帯電話モードでは、iモード、iモードメール、iアプリ、おサイフケータイ、テレビ電話、GPSなどが利用できます（ワンセグは非搭載）。タッチパネルでの操作が中心ですが、QWERTYキーボードとトラックボールも使用可能です。カメラ機能は自動顔検出AF、露出補正、スマイルショットなど多彩な機能を備えています。

富士通独自の機能として、「スーパーはっきりボイス3」、ジャイロセンサー、歩数計、エクササイズカウンター、パルスチェッカーなどが搭載されています。プライバシー保護のための隠しフォルダ機能も備えています。Wi-Fiは使用できませんが、Bluetoothと赤外線は利用可能です。1372種類のデコメ絵文字もプリインストールされています。

プリインストールアプリ

Windowsモード: Microsoft Office Personal 2010、Internet Explorer 9、Microsoft Silverlight、Adobe Flash Player、Acrobat Reader、セキュリティソフト、Windows Liveアプリ群、各種ユーティリティなど。

携帯電話モード: iモード関連アプリ、dマーケットアプリなど。

発売と歴史

2011年3月22日　TELEC認証通過
2011年4月28日　FCC認証通過
2011年5月16日　発表
2011年7月21日　予約開始
2011年7月23日　発売開始

F-07Cは、PCとモバイルの利点を融合した、当時としては非常にユニークな端末でした。その革新的な試みは、後のモバイルデバイスの発展に少なからず影響を与えたと言えるでしょう。

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