F-35I (航空機)

F-35I アディールとは

F-35I アディールは、アメリカのロッキード・マーティンによって開発されたF-35A ライトニングIIのイスラエル向け独自仕様機です。2010年に導入契約が締結され、2016年12月には初号機と2号機がイスラエルに到着しました。その後、2017年12月6日に初期作戦能力（IOC）が獲得され、2018年5月22日には実戦投入が行われました。

導入の背景

イスラエルは2003年にアメリカが主導する統合打撃戦闘機計画に参加を表明し、以降の開発段階でかなりの資金を投じました。2010年にはエフード・バラック国防相がイスラエル企業の参加が重要であると述べ、合計で20機のF-35を総額27億5,000万USドルで導入することが決確しました。

当初、F-35の導入はアラブ諸国に対する技術的優位性を保つための戦略として進められましたが、導入コストの高さから国防軍内には批判もあり、憂慮する声が上がりました。イスラエル側はF-35に国産部品を搭載することを希望しましたが、アメリカの国防安全保障協力局はその実現には高額な追加費用がかかると警告しました。

最終的に、2010年には政府がF-35の購入決定を下し、2011年にはイスラエル製の電子戦装置が搭載されることにアメリカが合意しました。

初号機の受領と運用開始

F-35Iの初号機は2016年6月22日、アメリカのフォートワース工場でロールアウトし、7月25日に初飛行しました。そして年末にはイスラエルに到着し、同国はアメリカ以外で初めてF-35を保有する国となりました。F-35Iはイスラエル航空宇宙軍の第140飛行隊に配備され、2017年12月に初期作戦能力を獲得しました。

2020年には新たに第116飛行隊が再編され、2022年3月時点で33機が受領されています。イスラエル航空宇宙軍は最終的に50機の調達を計画しており、さらなる運用の拡大が期待されている状況です。

F-35Iの特徴

F-35Iは、F-35Aからいくつかの点でアレンジされており、特に指揮・統制・通信・コンピュータ関連機材や一部のソフトウェアがイスラエル独自仕様に変更されています。また、国産の空対空ミサイルや誘導爆弾を搭載可能な設計がされています。

実戦投入と現在の運用

2018年5月にF-35Iはシリアへの航空攻撃に初めて使用され、以降も様々なミッションに投入されています。例えば、2024年にはダマスカスのイラン大使館に対する攻击においても使用が報告されています。現時点で、F-35Iの運用部隊はネバティム空軍基地およびテルノフ空軍基地に配備されており、各部隊はそれぞれ異なる役割で訓練および運用を行っています。

F-35Iアディールは、イスラエルの防衛力を強化する重要な戦闘機として、今後も国際的な軍事環境の変化に柔軟に対応しながら、その運用が続けられることが期待されています。

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