F355チャレンジ

フェラーリF355チャレンジ：リアルなドライビングシミュレーションの世界

セガが1999年にアーケードゲームとして発売した『F355チャレンジ』は、フェラーリ社の公式ライセンスを取得したドライビングシミュレーターです。その後、ドリームキャスト版(2000年)、アーケード版のバージョンアップとなる『F355チャレンジ2』(2001年)、そしてPlayStation 2版(2002年)と、複数のプラットフォームで展開されました。

圧倒的なリアリティ

このゲーム最大の特徴は、そのリアリティを追求した点にあります。開発には『デイトナUSA』などで知られるAM2研が携わっており、単なるレースゲームではなく、本格的なドライビングシミュレーターを目指した作りとなっています。ディレクターを務めた鈴木裕氏は、自らフェラーリF355のオーナーであったことでも知られています。開発には、セガを代表するゲームクリエイターである中裕司氏も関与し、F355オーナーであったことからも、開発陣のこだわりがうかがえます。

多様な操作性とアシスト機能

プレイヤーは、操作性のレベルを選択できます。初心者向けの自動変速とIBS（インテリジェント・ブレーキ・システム）を備えたモードから、上級者向けの6速Hパターンマニュアルシフトとクラッチペダルを使った、アシスト機能を一切排除したシミュレーターモードまで用意されています。さらに、走行中のスタビリティコントロール（SC）、トラクションコントロール（TC）、アンチロック・ブレーキ・システム（ABS）、IBSは、状況に応じて自由にON/OFFを切り替えることができます。

充実したゲームモード

アーケード版と家庭用ゲーム機版には、トレーニングモード、フリー走行モード、そして最大8台でのレースが可能なレースモードが搭載されています。トレーニングモードでは、音声と画面表示による丁寧なガイド付きで練習できます。

ドリームキャスト版では、マシンセッティングに時間制限がないシングルモード、ポイント制のチャンピオンシップモード、そしてオンライン対戦が可能なネットワークモードが追加されました。さらに、アーケード版『F355チャレンジ2』で追加された隠しコース5種類も収録されています。

PS2版では、チャンピオンシップモードに加え、「グレートドライバーチャレンジ」という、接触やコースアウトをせずに技術を競うモードや、F355に関する映像や画像を閲覧できるギャラリーモードが追加されました。

アーケード筐体の魅力

アーケード版には、2種類の筐体が存在しました。どちらの筐体も、外装はフェラーリF355のデザインを担当したピニンファリーナがデザインし、ロッソコルサ（赤）で塗装されています。

DXタイプ: 29インチモニター3台搭載、パドルシフトに加え6速Hパターンシフトレバーとクラッチペダルを装備。走行データのプリントアウト機能も備えています。『F355チャレンジ2』では筐体色がジャッロ・モデナ（黄）に変更されました。
ツインタイプ: 最大8人同時対戦可能。1つの画面でプレイし、クラッチペダルと6速Hパターンシフトレバーは搭載されていません。走行データはビジュアルメモリに保存され、ドリームキャストとの連動によるデータ閲覧やオンラインランキングへの登録も可能でした。

実在サーキットの再現

ゲームには、ツインリンクもてぎ、鈴鹿サーキット（ショートコースと国際レーシングコース）、モンツァ・サーキット、スポーツランドSUGO、ロングビーチ市街地コースなど、世界各地の実在サーキットが収録されています。ドリームキャスト版以降では、アトランタ・モーター・スピードウェイ、ニュルブルクリンク南コース、ラグナ・セカ、セパン・インターナショナル・サーキット、そしてフェラーリ専用のテストコースであるフィオラノ・サーキットが隠しコースとして追加されました。

まとめ

『F355チャレンジ』は、単なるレースゲームを超えた、本格的なドライビングシミュレーターとして高い評価を受けました。そのリアリティあふれる操作性、多彩なゲームモード、そして美しいグラフィックは、多くのプレイヤーを魅了しました。フェラーリF355を愛する人、そしてリアルなドライビングシミュレーションを求める人にとって、今でも魅力的な作品と言えるでしょう。

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