FAILBOX

『FAILBOX』 - 奥田民生の音楽世界

『FAILBOX』（フェイルボックス）は、日本のアーティスト奥田民生が手掛けた初のミニ・アルバムであり、彼にとっては3枚目のオリジナルアルバムでもあります。1997年6月9日にアナログレコードが先行発売され、続いて7月1日にCDとしてリリースされました。この作品はSony Recordsから展開されています。

アルバムの背景

本作は、前作『29』でレコーディングに参加したニューヨークのミュージシャンが再度アプローチしており、多国籍な音楽性が感じられます。アルバムタイトル「FAILBOX」は「失敗箱」と直訳されますが、その意味はジャケット写真に暗示された遊び心にあります。レコーディング中、参加者たちが口に出した「口ぐせ」に罰金を科すというユニークなルールに従って、ドラムシェルが罰金入れとして使用されていたのです。

音楽評論家の渋谷陽一が本作にライナーノーツを寄せており、奥田のソロ作品としては初めてアナログ盤が発売されたことも注目されます。CDのジャケットデザインとわずかに異なるアナログジャケット（バックの色が黒）も、ファンにとってはコレクターズアイテムの魅力を引き立てています。また、2007年12月19日には完全生産限定版として紙ジャケット仕様で再発されました。

収録曲の魅力

1. カヌー

「カヌー」は、後に斉藤和義がカバーしたことでも知られる楽曲です。自身のイメージを引き伸ばしながら、奥田の独特な世界観を感じ取れます。

2. 野ばら

「野ばら」はシングル発表はされていないものの、独自のミュージックビデオがあることから、その存在感が際立つ曲です。音楽番組でも演奏され、ファン投票では2001年に2位、2006年には1位を獲得するなど、非常に人気の高い作品です。また、この曲もGLAYによってカバーされています。

3. ロボッチ

「ロボッチ」は、奥田が当時影響を受けていた漫画家・谷岡ヤスジの世界観を反映した楽曲です。この時期、ツアーグッズのデザインも依頼するなど、彼からの影響は否めません。ライブバージョンは「恋のかけら」のカップリングとして収録されており、ファンにとっても特別な位置付けの曲となっています。

4. 陽

この曲は、NHKの時代劇「新・半七捕物帳」のエンディングテーマとして広く知られています。特に、歌詞中の「二人」とはPUFFYを指し、その二人へのメッセージが込められています。また、ソロシングルをリリースしていた時期とも重なり、歌詞が響く深みを与えています。

参加したミュージシャン

本アルバムには、多数の著名なミュージシャンが参加しています。奥田民生はもちろんのこと、スティーヴ・ジョーダン（ドラムス）、チャーリー・ドレイトン（ベース）、ワディ・ワクテル（ギター）、バーニー・ウォーレル（キーボード）など、多彩なアーティストが集結し、奥田の音楽世界を豊かに表現しています。また、サクソフォーンやトランペットの演奏も加わり、さらなるダイナミズムが生まれています。

『FAILBOX』は、奥田民生が独自の視点から描いた音楽の旅であり、聴く人々に多様な感情を呼び起こす力を持っています。このアルバムを通じて、彼の音楽に寄せる思いと情熱が伝わってくることでしょう。

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