FBO (航空)

FBO(Fixed Base Operator:運航支援事業者)とは



FBOとは、空港内または空港に隣接する場所を拠点として、主にゼネラル・アビエーション(一般航空)の航空機やその運航者に対して、さまざまなサービスを提供する事業者のことです。FBOの運営主体は民間企業、州、市などの地方自治体と多岐にわたります。もともとアメリカ合衆国を中心に発展した概念ですが、現在では世界中の航空業界で広く認識されるようになっています。

FBOが提供するサービスは、その規模や立地によって大きく異なりますが、一般的には以下のようなものが含まれます。

航空機への給油: レシプロエンジン用ガソリンやジェットエンジン用燃料(Jet A、Jet A-1など)を供給します。これは「ラインサービス」とも呼ばれます。
駐機: タイダウン(固定)やパーキング(駐機)のスペースを提供します。
施設提供: 洗面所や電話などの基本的な設備を備えた施設を提供します。

上記以外にも、以下のようなサービスを提供することがあります。

飛行訓練: 操縦士の育成を行います。
航空機の販売・レンタル: 航空機の売買や貸し出しを行います。
航空機の保守: 機体やエンジンのメンテナンス、修理を行います。
格納庫の提供: 航空機を格納する場所を提供します。
チャーター便: 航空機を貸し切りで利用するサービスを提供します。
地上における乗客・手荷物・貨物の運搬: 空港内での移動をサポートします。
機内ケータリング: 機内食の手配をします。
レンタカー: 空港から目的地への移動手段を提供します。
パイロット・乗務員用休憩所: 休憩スペースを提供します。
ホテル予約などのコンシェルジュサービス: 乗務員や乗客の要望に対応します。

FBOの歴史



FBOのルーツは、第一次世界大戦終戦後のアメリカに遡ります。当時、民間航空に対する規制がほとんどなかったため、多くのパイロットが余剰の軍用機を利用して、各地を巡業していました。彼らは農場などを臨時的な発着場として利用し、曲技飛行や試乗会を通じて生計を立てていました。しかし、1926年に航空商業法が制定されると、パイロットの免許制度や航空機の整備基準が整備され、このような放浪的な活動は徐々に姿を消していきました。

この法律制定以降、各地の空港で常設のビジネスを始めたパイロットや整備士たちが、それまでの巡業的な形態と区別するため、自らの事業を「Fixed-Base Operations(固定事業)」と呼んだことが、FBOという言葉の始まりとされています。

FBOの現状



FBOの定義は時代とともに変化し、現在では厳密な定義は存在しません。一般的には、空港敷地内またはその周辺を拠点とし、ゼネラル・アビエーションに関連する多様なサービスを提供する事業者を指します。提供されるサービスの範囲は、FBOの規模や設備によって大きく異なります。

多くのFBOは、以下のような設備やサービスを備えています。

気象情報: コンピューターによる気象情報表示やインターネット接続を提供し、パイロットがフライトプランを作成するのに役立ちます。
電話: 24時間利用可能な電話が設置されており、フライトプランの変更や連絡に利用できます。
休憩室: 乗客用のラウンジの他に、乗務員用の静かな休憩室を備えているところもあります。
売店: 航空図やマニュアル、ヘッドセットなどの航空関連用品を販売しています。
バスルーム: 24時間利用可能なバスルームが完備されています。
送迎サービス: 町中のホテルやレストランとの間で送迎サービスを提供しているFBOもあります。
軽食: 自動販売機や、軽食を置いているFBOもあります。
* 格納庫: 整備や点検などに利用できる格納庫を備えているFBOもあります。

FBOの利用料金



一般的に、FBOは機体のサイズに応じて着陸料や停泊料金を徴収しますが、燃料を購入した場合はこれらの料金が無料になることもあります。

各国のFBO



アメリカ合衆国

2009年4月時点の調査によると、アメリカには最低限の条件を満たすFBOが3,138箇所存在しています。

カナダ

カナダでは、中規模以上の空港では、主要な航空燃料サプライヤーがFBOを運営していることが多いです。小規模な空港では、空港運営事業者や飛行クラブがFBOを運営しています。

日本

日本では、ビジネスジェットの普及が諸外国に比べて遅れており、FBOサービスの提供も十分ではありません。ビジネスジェットの利用が経済発展に寄与するとの期待がある一方で、FBOの育成が急務とされています。

まとめ



FBOは、ゼネラル・アビエーションを支える重要な存在です。そのサービスは、航空機の運航を円滑にするだけでなく、パイロットや乗客の快適性も向上させます。今後、航空業界の発展とともに、FBOの役割はますます重要になっていくでしょう。

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