FICTION ZERO / NARRATIVE ZERO

FICTION ZERO / NARRATIVE ZERO

『FICTION ZERO / NARRATIVE ZERO』は、講談社文芸X出版部が2007年8月1日に発行した文芸雑誌です。講談社Birthやアジア本格リーグといった、革新的な文芸作品を世に送り出してきた同出版部が、「ノイズまみれの世界を変えよう」というキャッチフレーズのもと、新たな文芸のあり方を提案しました。

概要

本誌は、両側から読めるユニークな造本が特徴で、縦組みの「FICTION ZERO」（物語・小説）と、横組みの「NARRATIVE ZERO」（物語の語り方）という二つのセクションで構成されています。アートディレクターはタナカノリユキ、イラストはSTUDIO 4℃が担当し、ビジュアル面にも力が入れられています。巻頭には、古川日出男による「フィクションゼロ宣言」が掲載され、新たな文芸への熱いメッセージが込められています。また、巻末では小説の募集も行われ、新たな才能の発掘にも意欲を見せていました。

掲載内容

FICTION ZERO

「Seven Illusions 小説・ゼロ地平の幻影」と題された fiction zeroには、以下の作品が掲載されました。

古川日出男（イラスト：二村秀樹）「デーモン」
将吉（イラスト：福島敦子）「ハルベリー・メイの十二歳の誕生日」
三田誠（イラスト：青木康浩）「幻人ダンテ」
小川一水（イラスト：中田博文）「占星術師の希望（ヴォケイショノロジストのきぼう）」
壁井ユカコ（イラスト：中澤一登）「おもひでモドキ」
木葉功一（イラスト：幸村誠）「Drop」
豊島ミホ（イラスト：西見祥示郎）「僕たちは戦士じゃない」
漫画：小島アジコ、湯浅政明

NARRATIVE ZERO

「Six Narrations キャラクター世代の話法」と題されたnarrative zero には、以下の記事が掲載されました。

座談会：東浩紀・桜坂洋・仲俣暁生
対談：福井晴敏・サンライズ佐々木新
インタビュー：桑島由一
インタビュー：虚淵玄
エッセイ：万城目学「夜明け前」 - イラスト：ロビン西
インタビュー：STUDIO 4℃田中栄子

その後

しかし、残念ながら第2号は刊行されず、古川日出男の「デーモン」のように、第1部のみで中断している作品も存在します。一方で、掲載された短編作品の中には、連作化されて単行本として刊行されたものもあります。例えば、将吉の「ハルベリー・メイの十二歳の誕生日」は2008年11月に、三田誠の「幻人ダンテ」は2010年2月に講談社ノベルスから刊行されています。

『FICTION ZERO / NARRATIVE ZERO』は、短命に終わったものの、その斬新な試みは、後の文芸シーンに少なからず影響を与えたと言えるでしょう。

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