FITSAT-1

FITSAT-1 (にわか衛星)

FITSAT-1は、福岡工業大学の小型人工衛星プロジェクトによって開発された1UのCubeSatであり、愛称は「にわか衛星」です。この名前は、博多の伝統芸能である「はかたにわか」に由来しています。

概要

FITSAT-1は、2012年7月21日に種子島宇宙センターからH-IIBロケット3号機に搭載され、国際宇宙ステーション (ISS) へ向かいました。衛星は2012年10月5日に宇宙空間に放出され、主ミッションには5.84GHzの高速通信を利用したデータ収集が含まれています。また、副ミッションとして可視光通信も行われました。ミッションの成果は迅速に達成され、予定の100日を大幅に超えて、約270日間の運用がありました。最終的には、新潟で受信されたビーコン信号が最後の通信となり、同日中に地球上に降下したと考えられています。

構造

にわか衛星は、10cmのアルミニウム製角パイプから構成されており、各面に太陽電池が取り付けられています。これにより、最大で2.3Wの電力を生成できます。また、さまざまな通信装置やLED、カメラレンズの穴が装備され、宇宙環境での多様な機能を果たしました。衛星は永久磁石を搭載しており、常に南北を向くように設計されています。地磁気の特性を利用して、特定の観測地点を通過する際に向きを調整しています。

通信システム

FITSAT-1の通信システムには、遠隔操作用の2系統のアップリンクと、常時ビーコン信号を発する4系統のダウンリンクが備わっています。メインのアップリンクは437MHz、バックアップは1.26GHzを使用しています。ダウンリンクでは、衛星が撮影した画像やテレメトリデータを効率的に地上に送信することができます。特に、5.84GHzを使用した画像送信は、高速でのデータ転送を可能にし、衛星からの重要なミッションの一部となりました。

主ミッション

FITSAT-1は、超小型衛星において初めて5.84GHzのマイクロ波通信による画像転送を成功させました。国際宇宙ステーションや地表の写真を、わずか2秒から6秒で転送することができ、受信には福岡工業大学以外にも、新潟市やアメリカのアマチュア無線オペレーターが関与しました。特にドイツのAMSAT-DLチームは、この衛星から送信された20枚の画像の復元に成功しました。

副ミッション

副ミッションでは、宇宙から地上に向けたLEDの可視光通信の実験が行われました。この通信は、モールス信号と微弱光の2つのモードで実施され、光信号が各地で受信されています。様々な都市での観測活動を通じて、多くの天文ファンが集まり、成功した実験結果が得られました。特に、福岡工業大学のチームは独自の装置を使用して、電気信号を取り出すことにも成功しました。

観測データ

FITSAT-1からは、衛星の回転速度や姿勢に関する重要な観測データが取得されています。このデータによって、衛星が北を指しながら回転している様子が明らかになり、回転速度の変化も記録されました。

関連項目

FITSAT-1は、他のCubeSatプロジェクトとも関連しています。RAIKOは和歌山大学と東北大学によって開発され、WE WISHは明星電気、TechEdSatはサンノゼ州立大学によるプロジェクトです。これらの研究開発は、宇宙科学の進歩に寄与しています。

FITSAT-1の成功は、小型衛星プロジェクトの新たな可能性を示し、将来の宇宙開発に向けた重要なステップとなりました。

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