FN ポケット・モデル M1906

FN ポケット・モデル M1906

FN ポケット・モデル M1906（通称M1906）は、ベルギーの銃器メーカーFN社によって開発された自動式拳銃です。この武器の名称は製造が始まった1906年に由来していますが、FN社においては特許を取得した年にちなんでM1905と称されています。

概要

M1906は、0.25インチ口径のストレートブローバック方式を採用しており、ストライカー方式の内部機構が特徴です。その基本設計は、後のM1910にもつながるものであり、非常に堅実なものとされています。1906年に発売されて以来、特にアメリカ市場での人気が高く、多くの輸入品が流通しました。また、これに基づいてコルト社が製造したコルト M1908 ベスト・ポケットも広く知られています。

この拳銃の影響は多岐にわたり、さまざまなコピー製品が製造されました。その中には、フランスのユニーク モデル10やスペインのアストラ ヴィクトリア1911のように、オリジナルのデザインをもとにした独自の改良型も存在します。これらの改良は、グリップセーフティの廃止やセーフティレバーをグリップ前方に移動させるなどの変更を含んでいます。

M1906は1931年にマイナーチェンジが行われ、FN Babyまたはブローニング・ベビーとして販売されるようになりました。この改良版はさらなる小型化が施され、より携帯性が高まっています。1979年に生産が終了されるまで、M1906とFN Babyを合わせて約400万丁が製造され、長年にわたって愛用されました。

運用

全長約4.5インチ（114ミリメートル）のM1906は、まさにポケットに収まるサイズで、非常に高い携帯性を誇ります。そのため、この拳銃は個人の護身用として多く利用されてきたほか、警察や治安機関における要人警護や特殊任務にも使用されました。戦前の日本でも主要な府県警察において、私服警察官向けの武器として採用された他、警視庁の特別警備隊でも使用されていました。

さらに、大日本帝国陸軍の将校たちも自費で購入し、私用拳銃として利用することが一般的でした。

登場作品

この拳銃は映画『モスラ対ゴジラ』にも登場します。作中では、悪徳興行師の虎畑二郎が金銭を巡る争いで仲間に対して使用する場面が描かれています。

参考文献

• - ワールドフォトプレス『ミリタリー・イラストレイテッド 4 世界の拳銃』光文社文庫(1984年)
• - 床井雅美『現代軍用ピストル図鑑』徳間文庫(2002年)
• - 佐山二郎『日本の小火器徹底研究 小銃・拳銃・機関銃入門』光人社NF文庫(2008年)
• - 床井雅美、小林宏明、白石光『歴史群像シリーズ［完全版] 図説 世界の銃 パーフェクトバイブル』(2010年)

関連項目

• - FN社
• - FN ブローニング・ベビー
• - コルト・ベスト・ポケット

もう一度検索