FN F2000

FN F2000：21世紀型ブルパップアサルトライフル

FN F2000は、ベルギーのFN社が2001年に開発した5.56x45mm NATO弾を使用するブルパップ方式のアサルトライフルです。モジュール設計と独自の前方排莢機構を特徴とし、アメリカのOICW計画に対抗する目的もあって開発されました。

特徴

モジュール設計: 将来的な火器管制装置（FCS）の搭載を見据え、必要に応じて部品を交換できるモジュール設計を採用。
前方排莢機構: 射撃後の空薬莢を銃身右側のトンネルを通して銃口付近から前方に排出。左利き射手にも対応し、作動音や硝煙による射手への影響を軽減。
STANAGマガジン: M16などと共通のSTANAGマガジンを使用。ただし、防塵パッキンにより、マガジンキャッチを押すだけでなく引き抜く必要がある。

バリエーション

F2000 スタンダード: 上部に1.6倍スコープを搭載。
F2000 タクティカル: ピカティニーレールを搭載し、ドットサイトなどの光学照準器を装着可能。GL1グレネードランチャー（EGLM）を装備可能。
FS2000: 民間向けセミオートモデル。バレルが延長されている。
FS2000 スタンダード/OD グリーン・タクティカル・セミオートカービン/タクティカルブラック: FS2000をベースに、外装やレールシステムを変更したバリエーション。

設計思想

FN F2000は、同社製のP90同様、人間工学に基づいた設計がなされています。特徴的な前方排莢機構は、射手の利き腕を選ばないだけでなく、ブルパップ方式で懸念される作動音や硝煙の問題を解決する工夫が凝らされています。また、排莢時に空薬莢が冷却されるため、近接戦闘における同僚への影響を低減する効果も期待できます。

ただし、排莢機構の構造上、弾詰まりなどのトラブルに対処しにくいという側面もあります。そのため、薬室付近にインスペクションポートを備え、メンテナンス性を向上させています。

採用状況

ベルギー軍ではSCARが制式採用されたため、F2000を主力小銃として採用しているのはスロベニア軍のみです。スロベニア軍向けモデル（F2000S）は、ピカティニーレールを搭載し、スコープやダットサイトを装着できます。その他、サウジアラビア軍やインド、パキスタンなどもF2000を発注しています。

まとめ

FN F2000は、革新的な設計と高い拡張性を持つブルパップアサルトライフルです。前方排莢機構やモジュール設計など、従来の銃器の概念を覆す特徴を備えており、21世紀の歩兵火器の可能性を示唆する存在と言えるでしょう。

参考文献

Matsuo, Satoshi「無可動実銃に見る21世紀の小火器 145 FN F2000」『Gun Professionals』、ホビージャパン、2021年2月、156-160頁。

関連項目

Kel-Tec RFB - 前方排莢かつブルパップ方式を採用しているという共通点がある。

外部リンク

FN Herstal社公式サイト
FN社USA公式サイト
FN社USA公式サイト F2000 紹介ページ

もう一度検索