Fedora

Fedoraについて

Fedoraは、レッドハット社が支援するコミュニティプロジェクト「Fedora Project」によって開発されているLinuxディストリビューションです。最新技術の導入に積極的で、常に最先端のソフトウェアを体験できることが特徴です。以前は「Fedora Core」と呼ばれていましたが、現在は「Fedora」として知られています。特定のバージョンを指す場合は、「Fedora 39」のようにバージョン番号を添えて呼ばれます。

概要

Fedoraは、常に最新の技術を導入することを目指しており、ローリングリリース版であるRawhideも提供しています。「フリー／オープンソースソフトウェアの世界を迅速に発展させること」を開発目標に掲げ、自由ソフトウェアを重視する姿勢が特徴です。2003年末にRed Hat Linuxの開発終了を受けて、Fedora Projectが発足しました。レッドハットは、企業向けのRed Hat Enterprise Linux (RHEL) に注力し、Fedoraはコミュニティ主導の開発に移行しました。これにより、柔軟な開発が可能となり、その成果はRHELにも取り込まれるなど、技術検証の役割も担っています。

パッケージ管理

Fedoraでは、パッケージ管理にDandified Yum (DNF) またはYellowdog Updater Modified (Yum) が使用されてきました。Fedora 22以降はYumがDNFに置き換えられ、将来的にはYumは廃止される予定です。以前はRed Hat Linuxのパッケージ更新ツールであるup2dateも利用可能でしたが、Fedora Core 5で削除されています。Debianなどで採用されているAPTも使用できますが、AMD64アーキテクチャでのマルチアーキテクチャ環境には対応していないため推奨されていません。Mandriva Linuxなどで使用されるSmartも利用可能です。

リポジトリ

公式リポジトリに加え、コミュニティ運営のRPM FusionやLivna、アドビやDropboxなどのサードパーティー製リポジトリも利用できます。Fedora 7以前には、公式のFedora Coreリポジトリとコミュニティ運営のFedora Extrasリポジトリが存在しました。Fedora Coreでは中核的なパッケージを提供し、Extrasでは追加パッケージを提供していました。Fedora Core 3以降はExtrasも利用可能となり、Fedora Core 4以降はYumにデフォルトで登録され、すぐに利用できるようになりました。Fedora 7でCoreと統合され、名称が現在のFedoraに変更されました。

RPM Fusion

Fedoraの「自由ソフトウェア精神」に反する、あるいは法律に違反する恐れがあるため収録が見送られたパッケージを収録するリポジトリとしてRPM Fusionがあります。以前はDribble、Freshrpms、Livnaなどが存在しましたが、2008年に統合されました。オープンソースの「free」とそれ以外の「nonfree」に分かれており、後者には主にGPUドライバなどのプロプライエタリソフトウェアや、MP3、動画再生関連のライブラリが含まれています。

バージョン履歴

Fedoraは、短いサイクルで新しいバージョンがリリースされるのが特徴です。以下は、主なバージョンの履歴です。

Fedora Core 1 (Yarrow)

最初のバージョンであり、2003年 11月6日にリリースされました。Yumによる自動アップデート、プレリンクによるプログラム起動時間の短縮、ACPIやcpufreqのサポートが特徴です。

Fedora Core 2 (Tettnang)

2004年 5月17日にリリースされました。Linux カーネル2.6を採用し、強制アクセス制御であるSELinuxが実装されました。

Fedora Core 3 (Heidelberg)

2004年 11月8日にリリースされました。ブートローダがLILOからGRUBに変更され、ウェブブラウザにMozilla Firefoxが採用されました。

Fedora Core 4 (Stentz)

2005年 6月13日にリリースされました。PowerPCに対応し、Macintoshでも動作可能になりました。

Fedora Core 5 (Bordeaux)

2006年3月20日にリリースされました。GCC 4.1、GNOME 2.14が採用され、Xenのサポートが改善されました。また、SCIMとAnthyが導入され、日本語入力環境が改善されました。

Fedora Core 6 (Zod)

2006年 10月24日にリリースされました。GNOME 2.16が採用され、Compizによる3D画面効果が利用可能になりました。

Fedora 7 (Moonshine)

2007年 5月31日にリリースされました。Fedora ExtrasがFedora Coreに吸収統合され、OSの名称がFedoraに変更されました。

Fedora 8 (Werewolf)

2007年 11月8日にリリースされました。IcedTeaを収録し、Java環境が利用可能になりました。

Fedora 9 (Sulphur)

2008年 5月14日にリリースされました。ext4ファイルシステムのサポートが追加されました。

Fedora 10 (Cambridge)

2008年 11月25日にリリースされました。無線LAN共有機能が追加され、仮想化機能が強化されました。

Fedora 11 (Leonidas)

2009年 6月9日にリリースされました。

Fedora 12 (Constantine)

2009年 11月17日にリリースされました。PowerPC版の最後のリリースとなりました。

Fedora 13 (Goddard)

2010年 5月25日にリリースされました。

Fedora 14 (Laughlin)

2010年 11月2日にリリースされました。

Fedora 15 (Lovelock)

2011年5月24日にリリースされました。GNOME 3が採用されました。

Fedora 16 (Verne)

2011年11月8日にリリースされました。

Fedora 17 (Beefy Miracle)

2012年 5月29日にリリースされました。

Fedora 18 (Spherical Cow)

2013年 1月15日にリリースされました。DNFが試験的に導入されました。

Fedora 19 (Schrödinger's Cat)

2013年 7月2日にリリースされました。

Fedora 20 (Heisenbug)

2013年12月17日にリリースされました。

Fedora 21

2014年 1[[2月9日]]にリリースされ、コードネームが廃止されました。Fedora.nextイニシアティブで開発された最初のバージョンです。

Fedora 22

2015年 5月26日にリリースされ、DNFが標準のパッケージ管理システムとして採用されました。

Fedora 23

2015年 11月3日にリリースされ、Waylandがオプションで利用可能になりました。

Fedora 24

2016年 6月21日にリリースされ、Flatpak機能が追加されました。

Fedora 25

2016年 11月22日にリリースされ、Waylandが正式に実装されました。

Fedora 26

2017年 7月12日にリリースされ、パッケージマネージャがDNF-2.0になりました。

Fedora 27

2017年 11月14日にリリースされ、モジュラー化が進められました。

Fedora 28

2018年 5月1日にリリースされ、Modularリポジトリが導入されました。

Fedora 29

2018年 10月30日にリリースされ、3つのエディションに分かれました。

Fedora 30

2019年 4月29日にリリースされました。

Fedora 31

2019年 10月29日にリリースされ、32ビット版の提供が終了しました。

Fedora 32

2020年 4月28日にリリースされました。

Fedora 33

2020年 10月27日にリリースされ、WorkstationエディションでBtrfsがデフォルトになりました。

Fedora 34

2021年4月27日にリリースされました。

Fedora 35

2021年11月2日にリリースされました。

Fedora 36

2022年5月6日にリリースされました。

Fedora 37

2022年11月15日にリリースされました。

Fedora 38

2023年4月17日にリリースされました。

Fedora 39

2023年11月7日にリリースされました。

リリースのライフサイクル

Fedoraの各バージョンは、リリース後約13ヶ月間メンテナンスされます。新しいバージョンがリリースされるたびに、古いバージョンのサポートは終了します。例えば、Fedora 12がリリースされた後、Fedora 10のメンテナンスは1ヶ月後に終了しました。

派生版

Fedoraをベースにした多くの派生ディストリビューションが存在します。

設立の経緯

Fedoraは、Warren Togami氏がハワイ大学在学中に始めたプロジェクトが元になっています。Red Hat Linuxの開発終了後、レッドハットにFedoraを提供することを申し出て、公式にRed Hat Linuxの後継OSとなりました。ウォーレン氏はレッドハットに入社し、Fedoraの開発を続けています。

外部リンク

公式サイト
質問フォーラム (英語)
* 公式リリーススケジュール

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