Femme Fatale (中森明菜のアルバム)

アルバム『Femme Fatale』の詳細

『Femme Fatale』は、日本の歌手中森明菜が1988年にリリースした13枚目のスタジオ・アルバムです。このアルバムは1988年8月3日にワーナー・パイオニアから発売され、LP、カセット、CDの3形態で同時にリリースされました。海外のアレンジャーやミュージシャンを起用してロサンゼルスで録音された本作は、前作『Stock』に続く重要な作品として位置づけられています。

アレンジャーとミュージシャンの紹介

このアルバムには、マドンナのヒット曲「クレイジー・フォー・ユー」を手掛けたジョン・リンドや、リンダ・ロンシュタットに楽曲を提供した元クリトーンズのマーク・ゴールデンバーグ、ビリー・アイドルに楽曲を提供したスコット・ウィルクなど、様々な著名なアレンジャーが参加しています。さらに、元ハンブル・パイのピーター・フランプトンや、Mr.ミスターのスティーヴ・ファリス、スタンリー・クラークのアルバムにも参加したマイケル・トンプソンといったミュージシャンがギターを担当し、ビル・メイヤーズなどのキーボード奏者も参加しています。

アルバムのテーマと特徴

アルバムタイトルの「Femme Fatale」は、「魔性の女」や「運命の女」を意味するフランス語であり、アルバムの雰囲気を象徴しています。ジャケットや帯には「TAKE UP A NEW FASHION!! ダンサブルでビート感溢れる」と記載されており、その内容からもダンスミュージックであることが強調されています。『オリコン・ウィークリー』では、全曲が「オール・ダンサブル・リズム」と評価され、聴く者を惹きつけるリズム感が絶賛されています。

さらに、『Reversion (Desire)』の録音にはシンクラヴィアが使用されるなど、最新の音楽技術も取り入れられています。発売前の1988年7月20日からは、同名のコンサートツアーがスタートし、全国の音楽番組でも収録曲が多く披露されました。特に「So Mad」や「La Liberté」といった曲は、音楽番組でも多くの視聴者に楽しまれました。

批評と評価

アルバムの歌唱について、音楽ライターの北島由記子は中森明菜の歌声を「官能的に歌う」と表現し、彼女の歌声の多様性を称賛しています。また、『オリコン・ウィークリー』の評価では、メロディーがポップでクリア、さらに多彩な歌唱スタイルであることが指摘されています。特にセクシーな発声やウィスパー唱法、シャウト唱法といった技法が使われ、中森の持つミステリアスな魅力が引き立っています。

商業的成功と記録

リリース後、本作は1988年8月15日付のオリコン週間アルバムチャートで初登場2位、翌週には1位を獲得するなど、商業的にも成功を収めました。1988年のオリコン年間アルバムチャートでは30位にランクインし、多くのファンに支持されました。

総括

『Femme Fatale』は、中森明菜の音楽キャリアにおいても重要な作品であり、ダンスミュージックをベースにした魅力的な楽曲が揃っています。アルバムの独特な雰囲気と高い音楽性は、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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