ハンブル・パイ

ハンブル・パイについて

ハンブル・パイ（Humble Pie）は、1970年代前半に活動したイングランドのロック・バンドで、元スモール・フェイセスのスティーヴ・マリオットを中心に結成されました。本バンドはそのダイナミックなライブパフォーマンスで知られ、多くのファンを惹きつけました。

経歴のはじまり

1969年、スティーヴ・マリオットはスモール・フェイセスのメンバーでありながら、新たな道を模索していた時期でした。同じく、バンドから離れようとしていたピーター・フランプトンと出会い、フランプトンに新しいバンドを結成することを提案します。しかし、スモール・フェイセスの他のメンバーがフランプトンの加入を拒んだため、マリオットは彼にグレッグ・リドリー（ベース）やジェリー・シャーリー（ドラムス）を紹介し、ハンブル・パイの結成へとつながります。このように、マリオットが中心人物となる前段階には、フランプトンの重要な役割がありました。

デビューと初期の成功

ハンブル・パイは、新たにアンドリュー・ルーグ・オールダムのイミディエイト・レコードと契約し、デビュー・シングル「ナチュラル・ボーン・ブギー」を1969年8月にリリースしました。この曲はイギリスのチャートで最高4位を記録し、バンドは大きな注目を集めました。同年にはデビューアルバム『アズ・セイフ・アズ・イエスタデイ・イズ』も発表され、スモール・フェイセスの音楽スタイルを受け継ぎつつも、新たな展開を見せました。11月には、アコースティックな要素を強調した『タウン・アンド・カントリー』を発表し、初のアメリカ・ツアーも行います。このツアーでは、アコースティック・セットとエレクトリック・セットに分かれた独自の構成が話題を呼びました。

音楽的進化と成功の中で

1970年には、イミディエイト・レコードが破綻し、ハンブル・パイはA&Mレコードに移籍しました。間もなく発表されたアルバム『大地と海の歌』や、次作『ロック・オン』では、プログレッシブ・ロックとブギー・ロックのスタイルが融合します。この頃から、ヴォーカリストであるマリオットのソウルフルな歌声がより際立ってきました。1971年11月にリリースされたライブアルバム『パフォーマンス〜ロッキン・ザ・フィルモア』は、当時のロックライブアルバムの中でも高い評価を得ており、特に収録トラックの一つ、レイ・チャールズの「アイ・ドント・ニード・ノー・ドクター」のカバーはアメリカのFM局で大ヒットしました。

しかし、1971年にはフランプトンが音楽性の相違を理由に脱退し、彼はその後大成功を収めるソロキャリアを歩み始めます。この変化により、ハンブル・パイはマリオットを中心とした新たな音楽路線へと舵を切ります。

中期の活動と解散

その後もバンドは精力的に活動を続け、アルバム『スモーキン』や『イート・イット』をリリースしますが、ツアーによる疲労がメンバーを襲い、1975年には解散を迎えます。1980年には再結成されてアルバムをリリースするものの、完全な復活を果たすことはありませんでした。1991年には再度の再結成が期待されましたが、マリオットが不幸な事故で亡くなってしまいました。

その後の活動

その後、バンド名義を使えるようになったジェリー・シャーリーは、1980年代後半から再びハンブル・パイ名義で活動を行います。また、2001年にはスティーヴ・マリオット・メモリアル・コンサートで一時的に再結成され、オリジナルメンバーが数曲を演奏しました。2002年にはアルバム『バック・オン・トラック』がリリースされ、2019年には『ジョイント・エフォート』が発表されました。

ハンブル・パイの音楽は、ロックシーンにおいて独自の存在感を示し、現在も多くのアーティストに影響を与え続けています。

もう一度検索