Flock

Flock（フロック）とは

Flockは、かつて存在したソーシャルネットワーキングサービスとの連携を重視したウェブブラウザ、およびその開発企業を指します。このブラウザは、「ソーシャルブラウザ」という独自のコンセプトを掲げ、通常のウェブブラウジング機能に加え、SNSや各種ウェブサービスとの連携機能を強化していました。具体的には、Facebook、Myspace、TwitterなどのSNSや、YouTube、Flickrといったメディア共有サイトへの投稿、Yahoo!メールやGmailなどのウェブメールサービスの利用が、ブラウザ上から直接行えるようになっていました。

技術的な特徴

Flockは、バージョンによって異なるHTMLレンダリングエンジンを採用していました。初期の2.0系では[[Mozilla Firefox]]のGeckoエンジンを使用していましたが、3.0系からはGoogle Chromeのオープンソース版であるChromiumをベースとしたWebKitエンジンに切り替えられました。この変更は、ブラウザの性能向上と最新のウェブ技術への対応を目的としたものでした。

多言語対応

当初は主に英語を含む多言語をサポートしていましたが、2008年7月には日本語版も公開され、日本国内のユーザーにも利用されるようになりました。

マイクロソフトとの関係

マイクロソフトがヨーロッパで競争法違反で訴えられた際、欧州経済領域のWindowsユーザーに対してウェブブラウザの選択肢としてFlockが提示されました。これは、Flockが一定の認知度と評価を得ていたことを示しています。

開発の終焉

Flockは、2011年4月12日に公開が停止され、同月26日にはサポートが終了しました。開発終了の際、Flock, Inc.はユーザーに対し、FirefoxやGoogle Chromeへの移行を推奨しました。しかし、その後公式サイトでは、「私の死の噂は大幅に誇張されている」というマーク・トウェインの言葉を引用し、開発再開の可能性を示唆するようなメッセージを掲載しました。

機能

Flockは、そのユニークなコンセプトに基づいて、以下のような様々な機能を搭載していました。

各種ブログサービスへの投稿: ブラウザ上から直接、ブログサービスへの投稿が可能でした。
写真共有サービスへのアクセス: FlickrやPicasaなどの写真共有サービスへのアクセスや投稿が容易に行えました。
SNSへのアクセス: FacebookやTwitterなどのSNSへのアクセスがスムーズに行えました。
ソーシャルブックマークへの投稿: 各種ソーシャルブックマークサービスへの投稿もサポートしていました。
フィードリーダー機能: RSSフィードの購読機能を内蔵していました。
ブックマークのランク付けとタグ付け: ブックマークにランクやタグを付加することで、管理が容易になりました。
XULを利用した柔軟なインターフェース: XUL技術を利用することで、カスタマイズ可能なインターフェースを実現していました。
ブログ検索へのPing: ブログの更新を検索エンジンに通知するPing機能も搭載していました。
Firefox向けXUL拡張の利用: Firefox向けのXUL拡張機能も利用可能でした。

バージョンごとの特徴

Flock 1.1: Yahoo!メールやGmailなどのWebメール機能、Picasaツールバーが追加されました。
Flock 1.2: AOLメールのサポートが追加されました。
Flock 2.0: [[Mozilla Firefox]] 3と同等の技術を採用し、Myspaceのサイドバー統合、メディアRSSの実装などが行われました。
Flock 2.5: Beboのサイドバー統合やFacebookチャットを通じたTwitter検索が可能になりました。
Flock 2.5.5: BeboをPeople serviceに統合し、Facebook Chatをインスタントメッセージングサービスとして統合しました。
* Flock 3.0: ChromiumをベースとしたWebkitレンダリングエンジンに変更されました。

Flock, Inc.（会社）

Flockの開発・運営を行っていたFlock, Inc.は、2005年1月1日にバート・ディクリム (Bart Decrem) と最高財務責任者ジェフリー・アローン (Geoffrey Arone) によって設立されました。その後、ベンチャーキャピタルからの投資を受け、ショーン・ハーディン (Shawn Hardin) を中心に成長を続けました。しかし、2011年1月には大手ソーシャルゲーム開発メーカーのZyngaに買収されました。



Flockは、ソーシャルメディアの時代に先駆けて、ウェブブラウザとソーシャルネットワークの融合を試みた革新的なブラウザでしたが、その開発は惜しまれつつも終了しました。しかし、そのコンセプトは、今日のウェブブラウザにも影響を与えています。

もう一度検索