Follow the wind

氷室京介『FOLLOW THE WIND』

『FOLLOW THE WIND』（フォロー・ザ・ウィンド）は、日本のシンガーソングライター氷室京介が2003年8月20日にリリースした10枚目のオリジナル・アルバムです。東芝EMI（Capitol Musicレーベル）からの発売であり、ポリドール・レコードからの移籍後初のオリジナル作品となります。前作『beat haze odyssey』（2000年）から約3年ぶりのリリースとなりました。

本作は、全曲の作詞を森雪之丞、作曲・編曲・プロデュースを氷室京介自身が担当しています。レコーディングはアメリカ合衆国で行われ、ギタリストのスティーヴ・スティーヴンス、ベーシストのトニー・フランクリンらが前作に引き続き参加。新たにパーカッショニストのルイス・コンテ、ドラマーの永井利光が加わりました。レコーディング・エンジニアには、デヴィッド・ビアンコに加え、ジョー・チッカレリが参加しています。

アルバムからは、WOWOWヨーロッパサッカーイメージソングとして使用された「Claudia」が先行シングルとしてリリースされました。オリコンアルバムチャートでは最高2位を獲得し、10万枚を超えるセールスで日本レコード協会からゴールド認定を受けています。

背景

前作リリース後、氷室はコンサートツアーを実施。2002年にはポリドール・レコードから東芝EMIへ移籍を発表し、デビュー15周年を記念したベスト・アルバム『Case of HIMURO』（2003年）をリリース。その後、1日限りのライブ「15th Anniversary Special LIVE Case of HIMURO」を開催し、3万5千人を動員しました。

制作の背景

本作のレコーディングはアメリカで行われました。ディレクターの子安次郎によれば、アルバムは「Claudia」のシングルカットやタイアップの話が進む中で、断片的に制作が進められていたとのことです。氷室は、完成したバージョンの大部分を破棄し、歌唱時に言葉のノリに違和感を感じて歌入れを再度行うなど、時代に合ったサウンドになっているかを重視していました。アメリカで現地の音楽に触れる環境が、自身の音楽の完成度を高めるという意識に繋がったと述べています。

音楽性

1997年の渡米以降、氷室の音楽性は大きく変化しました。ニルヴァーナに端を発するグランジムーブメントに影響を受け、ビートに関する評価基準が大きく変わったと語っています。以前はニュー・ウェイヴの影響でビートがタイトにシンクロすることを重視していましたが、グランジ以降はビートの「よれ」を重視するようになったとのことです。また、コード進行に関しても、それまでのポップさを表現する循環コードから、あり得ないコードを敢えて使用することで新しい感覚を追求するようになったと述べています。

先行シングル「Claudia」は、万人に理解されやすいチューニングで制作された楽曲であり、氷室自身もポップな楽曲であると述べています。

批評・評価

本作は、音楽性やサウンド面で高い評価を得ています。『CDジャーナル』は、ソロ15周年記念作品であることに触れ、「ビート感あふれる曲調はまさに、ヒムロックならではの仕上がり」と評価。また、ラップ調のハードなミクスチャー・ロックに挑戦している点を指摘し、「パワフルなロック・ナンバーが彼には一番似合うことを再認識させてくれる」と肯定的に評価しました。

『TOWER RECORDS ONLINE』は、作詞家である森雪之丞とのパートナーシップやロサンゼルスのミュージシャンの参加に触れ、「ハイ･クオリティ･サウンドが炸裂しています」と評価しています。

ツアー

本作を受けてのツアー「KYOSUKE HIMURO TOUR 2003 "HIGHER THAN HEAVEN"」は、2003年8月から11月にかけて30都市38公演で開催され、約12万人を動員しました。

収録曲

[CDブックレットを参照]

スタッフ

[CDブックレットを参照]

チャート

オリコンアルバムチャート 最高2位

認定

日本レコード協会 ゴールド

『FOLLOW THE WIND』は、氷室京介の音楽的な探求心と、時代に合わせたサウンドへの挑戦が感じられる作品です。

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