FreeDOS

FreeDOSとは

FreeDOSは、PC/AT互換機|PC_AT互換機で動作するオペレーティングシステム（OS）です。MS-DOSとの互換性を持ち、その代替となる自由な環境を提供することを目的に開発されました。最新バージョンは2022年2月20日に公開された1.3です。

幅広いハードウェアサポート

FreeDOSは、1981年に発売された旧式のIBM PCから、最新のIntel Core i7 CPU、各種組み込み機器まで、幅広いハードウェアをサポートしています。MS-DOSと同様に、カーネルを介してディスクやファイルシステムへのアクセスや簡易的なメモリ管理機能を提供します。

特徴

GUI: 標準ではGUIを搭載していませんが、OpenGEMをGUIとして利用できます。
起動: フロッピーディスク、ハードディスク、ROMからの起動に加え、MS-DOSにはないCD-ROMからの起動もサポートしています。
ライセンス: GNU GPLに基づいてライセンスされており、誰でも自由に独自のディストリビューションを作成・配布できます。

歴史

FreeDOSプロジェクトは、1994年6月26日にマイクロソフトがMS-DOSの販売中止を発表したことをきっかけに、ジム・ホールによって開始されました。彼はオープンソースの代替DOSの開発を提唱し、数週間以内にパット・ヴィリアーニ（互換カーネル「DOS-C」の作者）やティム・ノーマンらが参加しました。

彼らは、自身で記述したコードや当時利用可能だったコードを組み合わせて、カーネル、シェル（COMMAND.COM）、基本的なユーティリティなどを開発しました。バージョン1.0は2006年9月3日、バージョン1.3は2022年2月20日にリリースされました。

幅広い利用

FreeDOSは、ホビーユースや古い機種の維持だけでなく、ヒューレット・パッカードやAsusのビジネス向けPCの「OS無しモデル」にプリインストールされ、動作確認用としても利用されています。公式ウェブサイトからは、リリースやソースファイルなど、すべてのプロジェクト関連ファイルをダウンロードできます。

MS-DOSとの関係

FreeDOSはMS-DOSと高い互換性を持っており、MS-DOS上で動作していた旧式のMicrosoft Windows（Windows 1.0/2.0/3.x）もFreeDOS上で動作します。また、FreeDOSはMS-DOSよりも国際化、省電力管理、統合ASPIなど、MS-DOSがサポートを打ち切った当時には存在しなかった新しい標準規格や技術に対応しています。さらに、MS-DOSでは公式にサポートされていなかったLBAとFAT32ファイルシステム（FAT32からの起動を含む）もサポートしています。

互換性

一般的なアプリケーション

MS-DOS用に書かれたほとんどのアプリケーションはFreeDOSでも動作します。サポートされる実行ファイル形式は以下の通りです。

旧式の .COM 実行形式
標準的な 16ビット .EXE 実行形式
ボーランドによる16ビットのDOSプロテクトモードインターフェイス (DPMI) 実行形式
DOSエクステンダを使用した 32ビット DPMI実行形式
DOS/32A
Causeway
DOS/4GW
* GO32/CWSDPMI

さらに、HX DOS Extenderを使用することで、多くのWin32コンソールアプリケーションや、QEMUやBochsなどのGUIプログラムもFreeDOS上で動作します。

Windowsとの関係

Windows 1.0から3.xx

FreeDOSでは、Windows 1.0および2.0がそのまま動作します。しかし、i386プロセッサをサポートしたWindows 3.xを「386エンハンスド・モード」で動作させることはできません。これは、FreeDOSのメモリマネージャが非公開のGlobal EMM Import Specificationに対応していないためです。

Windows 3.0はリアルモードまたはスタンダードモードで動作し、それ以降のWindows 3.xはスタンダードモードでのみ動作します。Windows for Workgroups 3.11ではスタンダードモードのサポートが打ち切られたため、そのままではFreeDOS上で動作させることはできませんが、FreeDOS用のhimem.exeとemm386.exeを、Windowsに付属しているhimem.sysとemm386.exeに置き換えることで動作させることが可能です。

Windows 9x および Windows Me

Windows 95、98、MeはDOSベースのWindowsですが、これらのOSはMS-DOSに似てはいるものの、独自のブートローダー上で動作し、Windowsシステムと一体化しています。そのため、Windows 95、98、MeをFreeDOS上で動作させることはできません。ただし、これらのシステムとは独立にFreeDOSをインストールすることはでき、その場合はFreeDOS付属のMETAKERNプログラムや、LILOやGRUBなどのブートマネージャを利用します。

Windows NT/2000/XP/2003 および ReactOS

Windows NT系のオペレーティングシステム（Windows 2000、XP、2003）は、MS-DOSをシステムの核として使用していません。これらのシステムはFATファイルシステムを使用できますが、既定のファイルシステムはNTFSです。FATを使用している場合は、FreeDOSは同じパーティション上で共存できますが、NTFSを使用している場合は別のパーティションにインストールする必要があります。FreeDOSカーネルは、Windows NT Boot Loader設定ファイルのboot.ini、またはReactOSのfreeldr.iniを設定することで起動できます。

日本語の扱い

FreeDOSは主に英語圏で開発されているため、日本語表示に必要なソフトウェアは含まれていません。FreeDOS/Vページでは、FreeDOSを改造して日本語を扱う方法が紹介されていますが、2006年6月11日以降、事実上メンテナンスが停止しています。

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