Fw 191 (航空機)

フォッケウルフFw 191：試作爆撃機の悲劇

フォッケウルフFw 191は、第二次世界大戦中にドイツで設計されたものの、正式には製造されなかった試作の爆撃機です。ドイツ航空省（RLM）が1939年に発表した「B爆撃機計画」に基づいて、Fw 191は高性能な中型爆撃機として開発されることになりました。特に注目されたのは、異なるエンジンを搭載する二つのモデルの提案で、双発モデルにはユンカースJumo 222エンジン、四発モデルにはダイムラー・ベンツDB 605エンジンが考えられていました。しかし、最終的には技術的な問題が影響し、このプロジェクトは実現しませんでした。

設計と開発の経緯

Fw 191の開発は、計画段階からさまざまな挑戦が伴いました。要求されていた性能は、最高速度600 km/h（373 mph）および4,000 kg（8,820 lb）の爆弾を搭載してフランスやノルウェーから英国を攻撃する能力を持つことでした。さらに、機体には搭乗員を守るための与圧キャビンと、遠隔操作で武装を操作する機能が求められました。これに対応して、アラド社、フォッケウルフ社、ユンカース社が競い合って設計を進めました。最終的に、ユンカースのJu 288とフォッケウルフのFw 191が全規模で開発されることが決まりました。

Fw 191は、肩翼型の主翼を持ち、主翼のナセルには2基のユンカースJumo 222エンジンが搭載される設計でした。特に注目されたのは、ハンス・ムルトップによる独自の着陸フラップ及びダイブブレーキの機構であるムルトップ・クラッペが装備されていた点です。機体の尾部には、上反角を持つ水平尾翼と、双垂直尾翼が備わり、降着装置は機体の後方へと引き込まれる設計になっていました。

搭乗員は4名で、与圧されたコックピットを使用し、各種の武装が搭載される計画でした。しかし、試作機ではこの武装が変更され、また搭載される予定の爆弾倉も設計されました。

開発の失敗と最終的な結末

Fw 191は、設計の複雑さや電動モーターの採用により「空飛ぶ発電所」と称されることがありました。このモーターは重さの増加を招き、さらに敵の攻撃を受けた場合にはシステム全体が無効化されるリスクも孕んでいました。初飛行は1942年に行われましたが、エンジンの出力不足やムルトップ・クラッペによる激しいフラッターといった問題が相次ぎ、テストは思わしくありませんでした。

Fw 191の試作機は合計でわずか3機のみが製造され、RLMによる方針変更によって設計が難航し続けました。最終的には、最初に開発の難しさが露呈し、計画中のすべての爆撃機に関する要求が満たされることはありませんでした。後の証言によれば、Fw 191はその設計上は優れたものであったものの、必要な2,500馬力級エンジンが入手できぬままプロジェクトは破棄されました。

要目

• - 乗員：360kg（794lb）
• - 全長：18.45 m（60 ft 6 in）
• - 全幅：25 m（82 ft）
• - 全高：4.80 m（15 ft 9 in）
• - 翼面積：70.5 m²（759 ft²）
• - 空虚重量：11,970 kg（26,389 lb）
• - 最大離陸重量：19,575 kg（43,155 lb）
• - エンジン：2×ユンカースユモ222液冷エンジン、2,200 hp（1,641 kW）
• - 最高速度：620 km/h @ 6,350m（385 mph @ 20,800’）
• - 武装：多様な機関銃と爆弾搭載能力

このように、Fw 191はその意義や設計美には一定の評価が与えられつつも、結局は技術的なハードルに阻まれて実現には至らず、悲劇的な結果を迎えました。

もう一度検索