G級駆逐艦 (初代)

G級駆逐艦の概要

G級駆逐艦は、イギリス海軍が運用した駆逐艦の艦級です。当初は「ビーグル」をネームシップとするビーグル級として知られていましたが、後にG級として再分類されました。この艦級は、イギリス海軍の駆逐艦の歴史において重要な位置を占めています。

開発の背景

当初、イギリス海軍は水雷艇駆逐艦（TBD）を、フランス海軍を仮想敵として、欧州沿岸部での水雷艇撃退や敵主力艦への雷撃を主な任務としていました。しかし、ドイツ帝国の台頭と英仏関係の改善に伴い、作戦海域は北海へと移行し、艦の設計も大きく見直されました。

リバー級（後のE級）では航洋性が向上し、続くトライバル級（後のF級）では、ドレッドノート級戦艦との連携を考慮した艦隊編成に対応するため、蒸気タービン機関と重油専焼水管ボイラーなどの新機軸が導入されました。しかし、これらの新技術は建造費の高騰を招き、1隻あたり14万ポンドに達していました。

1908年、アスキス内閣は社会保障の財源確保のため、海軍増強計画の縮小を決定しました。また、重油を燃料とする艦艇の増加に伴い、有事の際の重油消費量が貯蔵能力を超過する可能性が指摘され、駆逐艦の建造コストを低減するとともに、ボイラーを石炭専焼式に戻すことになりました。これがG級駆逐艦が誕生した背景です。

設計の特徴

G級駆逐艦は、E級以来の船首楼型を踏襲しており、艦橋の低さなど、F級よりもE級の拡大型に近いシルエットを持っています。また、主錨が外販付ベルマウスに収められ、投錨作業が容易になったことも特徴です。この方式は、後の艦艇にも採用されました。

当初、F級と同様に重油専焼水管ボイラーを搭載する予定でしたが、ドイツ帝国海軍の石炭専焼大型水雷艇G137が海上公試で良好な燃費を示したことから、石炭専焼式に変更されました。これにより、G級はイギリス海軍が建造した最後の石炭専焼式駆逐艦となりました。ボイラー形式は、ヤーロウ式とホワイト・フォスター式に統一され、主機はF級と同じパーソンズ式の直結蒸気タービンが採用されました。これらの設計変更により、建造費はF級と比較して約20%削減されました。

装備

F級では、40口径10.2cm砲が採用されましたが、G級では、当初は船首楼甲板に40口径7.6cm砲2門を設置する予定でした。しかし、最終的には、船首楼甲板上のプラットフォームに40口径10.2cm砲1門を搭載するように変更されました。後部には、12ポンド砲3門を備えています。

水雷兵器としては、従来の18インチ魚雷発射管から、熱走魚雷に対応した21インチ魚雷発射管が採用され、雷装が強化されました。

まとめ

G級駆逐艦は、イギリス海軍の駆逐艦の歴史において、コスト削減と技術的な変遷を示す重要な艦級です。石炭専焼式ボイラーの最後の採用、主砲の変更、魚雷発射管の大型化など、多くの特徴を持っています。

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