G.726

G.726は、ITU-T（国際電気通信連合電気通信標準化部門）によって勧告されたADPCM（適応差分パルス符号変調）音声コーデック規格です。この規格は、音声を16kbit/s、24kbit/s、32kbit/s、40kbit/sの4つの異なるビットレートで伝送することを可能にします。G.726は、以前の規格であるG.721（32kbit/s ADPCM）とG.723（24kbit/s、40kbit/s ADPCM）の後継として開発され、新たに16kbit/sのビットレートが追加されました。

ビットレートと標本サイズ

G.726の各ビットレートは、標本あたりのビット数で表されることもあります。具体的には、16kbit/sは2ビット、24kbit/sは3ビット、32kbit/sは4ビット、そして40kbit/sは5ビットとなります。

最も一般的に使用されるのは32kbit/sのモードです。このモードは、G.711コーデックの半分のビットレートで音声を伝送できるため、ネットワークの利用効率を大幅に向上させることができます。その結果、国際電話網などで広く利用されています。

G.726の採用事例

G.726は、DECT（Digital Enhanced Cordless Telecommunications）コードレス電話の標準コーデックとしても採用されています。また、一部のキヤノン製デジタルカメラにも搭載されており、音声記録に使用されています。

歴史

G.726の歴史を振り返ると、まず1984年にG.721が登場し、その後1988年にG.723が登場しました。そして、1990年にこれらの後継としてG.726が導入されました。また、G.726と同時にG.727という規格も導入されましたが、G.727はPCME（Packet Circuit Multiple Equipment）向けに最適化されており、ビットレートが重複する部分もありますが、用途が異なっています。

G.727では、2ビット量子化器を3ビット量子化器に埋め込むといった技術が採用されており、音声信号に影響を与えることなく、ビットストリームから最下位ビットを削除できるようになっています。

技術的な特徴

G.726の主な技術的特徴は以下の通りです。

サンプリング周波数: 8 kHz
ビットレート: 16kbit/s、24kbit/s、32kbit/s、40kbit/s
フレーム長: パケット化の際に決定されますが、一般的に10msで80サンプルが標準です。
アルゴリズムによる遅延: 0.125ms（先読み遅延は含まず）
方式: ADPCM（適応差分パルス符号変調）
計算量: G.711の計算量を1とした場合、G.726の計算量は約10（G.729aは15）
音質評価: PSQM（音質評価法）による平均オピニオン評点では、理想的な環境でG.726（32kbit/s）が4.30、G.711（μ-law）が4.45です。ネットワーク負荷環境下では、G.726（32kbit/s）が3.79、G.711（μ-law）が4.13となります。
モデム信号の転送: 40kbit/sのG.726では1200bit/s以下のモデム信号、32kbit/sのG.726では2400bit/s以下のモデム信号を転送可能です（品質低下を許容すれば4800bit/sまで対応可能）。

関連技術

G.726は、音声符号化技術の一つであり、関連する規格として以下のものがあります。

G.711: 音声コーデックの基本となる規格の一つ。
G.723: G.726の前身となるADPCMコーデック規格。

外部リンク

* ITU-T G.726 page

G.726は、音声データを効率的に圧縮し、様々な通信環境で活用されている重要な技術です。その柔軟性と効率性から、今後も広く利用されていくでしょう。

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