GJ 1252

GJ 1252

GJ 1252は、南天のぼうえんきょう座の方向、太陽系から約66.5光年（約20.4パーセク）の距離に位置する赤色矮星です。赤色矮星は、太陽に比べて質量や半径が小さく、表面温度も低い恒星の分類です。

この恒星は、太陽の約38パーセントの質量と、約39パーセントの半径を持っています。表面温度は比較的低温で、およそ3,458ケルビン（摂氏約3,185度）と推定されています。GJ 1252は、その周囲を公転する太陽系外惑星が見つかっていることで知られています。特に、この恒星はトランジット系外惑星探索衛星TESSの観測対象となったことから、TOI (TESS object of interest) カタログにおいてTOI-1078という名称も与えられています。

惑星系

GJ 1252の周囲には、これまでに一つの太陽系外惑星、GJ 1252 b（TOI-1078 b）が発見されています。この惑星は、2019年にTESS衛星によるトランジット法を用いた観測でその存在が確認されました。トランジット法は、惑星が恒星の手前を通過する際に恒星の光がわずかに減光する現象（トランジット）を捉えることで惑星を検出する手法です。

GJ 1252 bは、地球よりもわずかに大きなサイズの地球型惑星に分類されます。具体的な数値としては、質量は地球の約1.3倍、半径は地球の約1.18倍に相当します。この惑星の最も特筆すべき点は、その極めて短い公転周期です。GJ 1252 bは、主星の周囲をわずか12.4時間という驚異的な速さで一周しています。これほど短い周期で公転している場合、惑星は主星から非常に強い潮汐力を受けるため、多くの場合は自転と公転の周期が一致する「潮汐ロック」（または潮汐固定）の状態にあると考えられています。

GJ 1252 bの特性をさらに詳しく調べるために、惑星が恒星の裏側に隠される際に生じる光の変化（二次食）の観測が行われました。この二次食の観測結果から、GJ 1252 bには大気がほとんど存在しない可能性が高いことが示唆されています。これは、過去に観測された他の高温な地球型惑星、例えばLHS 3844 bやTRAPPIST-1bの最も内側の惑星などと同様の傾向です。大気がほとんど存在しないため、昼側の表面温度は極めて高温となり、測定結果によれば摂氏約1,140度（約1,410ケルビン）に達することが分かっています。

GJ 1252系は、近傍に位置する赤色矮星とその周囲を短周期で公転する高温の地球型惑星という特徴から、系外惑星の大気や進化過程を研究する上で興味深いターゲットの一つとされています。

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