GJ 3082 b

GJ 3082 b

概要

GJ 3082 bは、地球から見てほうおう座の方向に位置する恒星GJ 3082の周囲を公転する太陽系外惑星です。地球からの距離は約55光年と比較的近い恒星系に属しています。この惑星は、その主星の特性や軌道要素から、天文学者たちの関心を集めています。

発見

この太陽系外惑星は、2020年に行われたドップラー分光法による観測データに基づいて発見されました。ドップラー分光法（視線速度法とも呼ばれる）は、惑星の重力によって主星がわずかに揺らぐ様子を、主星から届く光のドップラー効果による波長のずれとして観測し、惑星の存在とその質量（正確には下限質量）や軌道要素を推定する間接的な検出方法です。GJ 3082 bの発見は、この手法によって主星の視線速度の変化が検出されたことによるものです。

特筆すべきは、GJ 3082 bが発見された際、同時にこの星系で他に4つの惑星候補が確認され、合計5つの惑星の発見が同時に発表されたことです。これは、GJ 3082星系が複数の惑星を持つ多惑星系であることを示しており、惑星系の形成や進化を研究する上で貴重な事例となります。

特徴

GJ 3082 bは、いくつかの特徴的な性質を持っています。

まず、その質量に関して、観測から得られた下限質量は地球の約8.2倍と推定されています。この質量は、太陽系における地球のような岩石惑星よりもかなり大きく、天王星や海王星のようなガス惑星に匹敵するスケールです。この比較的大きな質量から、GJ 3082 bは海王星型惑星に分類される可能性が高いと考えられています。海王星型惑星は、岩石や金属の核の周囲を、水やメタンなどの揮発性物質を含む分厚い氷のマントルと、水素やヘリウムなどの大気が覆っていると考えられています。

次に、その軌道についてです。GJ 3082 bは主星である恒星GJ 3082から非常に近い軌道を回っています。その軌道長半径は約0.079天文単位（au）と計算されており、これは太陽と地球の平均距離を1 auとした場合、わずかその約8%にあたる距離です。具体的には、約1180万キロメートルという近さです。これは太陽系内で最も内側を公転する水星の軌道（平均約0.387 au）よりもはるかに内側にあたります。主星にこれほど近い軌道を回っているため、公転周期も非常に短く、わずか11.949日で主星の周りを一周します。

主星からの距離が極めて近いため、GJ 3082 bの表面（あるいは大気上層部）は、主星からの強い放射を受けて非常に高温になっていると予想されます。このような、主星のごく近くを短周期で公転する木星や海王星に似た惑星は、「ホットジュピター」や「ホットネプチューン」などと呼ばれます。GJ 3082 bはその質量と軌道から、ホットネプチューン型惑星の一例と言えるでしょう。

まとめ

GJ 3082 bは、約55光年彼方のGJ 3082星系に存在する、2020年に発見された太陽系外惑星です。ドップラー分光法によって検出され、同時に他の惑星も発見された多惑星系の一員です。地球の8.2倍程度の質量を持ち、海王星型惑星である可能性が高いと推定されています。主星から約0.079 auという非常に近い軌道を約12日弱で公転しており、高温のホットネプチューン型惑星と考えられています。この惑星の存在は、太陽系外における多様な惑星系の姿を示す貴重な例として、今後の詳しい観測が待たれています。

もう一度検索