GNU Affero General Public License

GNU Affero General Public License (AGPL)

GNU Affero General Public License（通称AGPL）は、フリーソフトウェアの中でも特にサーバーソフトウェアに適したライセンスとして策定されました。AGPLは、従来のGNU General Public License（GPL）における課題を解決するためのコピーレフト条項を強化したもので、特にアプリケーションサービスプロバイダー（ASP）における「抜け穴」を克服することを目的としています。

歴史的背景

AGPLの開発は2000年に始まりました。この年、e-ラーニングとe-ビジネスに関するビジネスモデルを模索していたヘンリー・プールがリチャード・ストールマンと会合し、GPLのASPにおける不備について議論しました。その後、プールは2001年にWebサービス企業「Affero, Inc.」を設立し、他の団体がそのコードを基にしたサービスを展開できるライセンスを必要とする状況が生まれました。

2002年2月、フリーソフトウェア財団（FSF）の関係者が、GPLに新たな条項を追加して、二次的[[著作物]]に対して完全なソースコードを提供することを求める案を提案しました。この案がもとに、AGPLのバージョン1が策定され、2002年3月に公開されました。

その後、AGPLのバージョン3が2007年11月にFSFにより発表され、AGPLv3は多くのオープンソースプロジェクトで採用されることになりました。

コピーレフトの意義

AGPLは、GPLと同様に強力なコピーレフトライセンスですが、特にネットワークを介して使用されるソフトウェアについての明確な条項を追加しています。具体的には、AGPLに基づくソフトウェアがウェブアプリケーションとして使用される場合、その利用者にソースコードを提供することを義務づけています。これは、GPLにおけるASPループホールを解消し、ユーザーがソフトウェアを利用しても製品の頒布に関わりにくい状況に対応するためです。

しかし、AGPLにもいくつかの注意点があります。特に、ソフトウェアが「リモートでコンピュータネットワークを介し対話的にやりとり」されない場合には、コピーレフト条項の適用に疑問が生じることがあります。これに対し、MongoDBなどは独自にライセンスを改定し、サーバーサイドにおけるコピーレフトを明確化しました。

各バージョンの概要

AGPLには、Affero, Inc.によって策定されたバージョン1と、フリーソフトウェア財団によって策定されたバージョン3の2つがあります。これらのバージョンは、強いコピーレフトの理念に基づいており、それぞれが別々に特徴を持っています。

標準化団体との承認

AGPLv3は、フリーソフトウェア財団、オープンソース・イニシアティブ、Debianプロジェクトにより、信頼性の高いソフトウェアライセンスとして承認されています。このような承認は、AGPLの採用を検討する際の重要な基準となります。

AGPLの互換性

AGPLのバージョン間ではコピーレフトの概念が強化されており、AGPLv1とGPLv2の間には互換性がない一方で、AGPLv3とGPLv3には互換性があります。しかし、互換性があったとしても、一方のライセンスで提供されるソフトウェアを他方のライセンスで再ライセンスすることはできません。これにより、両者のコピーレフトが保たれることになります。

AGPLを採用したアプリケーション

AGPLを使用している著名なウェブアプリケーションには、以下のようなものがあります。

• - CiviCRM
• - Diaspora
• - マストドン
• - OpenERP

これらのアプリケーションは、AGPLのもとで自由に使用、改変、配布され、ユーザーに対してそのソースコードが提供されることが保証されています。

AGPLは今後も、クラウドコンピューティングやウェブアプリケーションを支える重要なライセンスとして注目を集め続けることでしょう。

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