GOLDEN J-POP/THE BEST 南沙織

GOLDEN J-POP / THE BEST 南沙織

アルバム概要

南沙織のキャリアを網羅したベストアルバム『GOLDEN J-POP / THE BEST 南沙織』は、1998年11月21日にSMEJよりリリースされました（規格品番：SRCL-4414/5）。本作は、1990年代後半から展開され人気を博した「ゴールデン・J-ポップ」シリーズの一環として企画された南沙織に焦点を当てた作品であり、20世紀中に発売された非限定生産の南沙織ベストアルバムとしては、最後を飾る記念碑的な位置づけとなっています。発売当時のCD帯には、「永遠に心に残る極上のPOPSをシンシアからあなたに!!」「初CD化10曲収録!!」「97年の最新曲『初恋』を含むJ-POPの歴史的遺産!!」「南沙織を聴かずしてJ-POPを語るなかれ!!」といった、本作の価値を示す印象的なコピーが添えられていました。

内容構成

本アルバムはCD-DA2枚組で構成されており、その選曲は多岐にわたります。

Disc 1には、南沙織が「シンシア」としてデビューした1971年夏のシングル「17才」から、1977年秋に発表された24枚目のシングル「木枯しの精」までの楽曲が中心に収められています。基本的には、この期間にリリースされたシングルレコードのA面曲が発売順に収録されていますが、いくつか例外も含まれます。まず、アルバムの冒頭を飾るのは、シングル化されていない器楽曲「シンシアのテーマ」です。この楽曲は、元々1973年のアルバム『20才まえ』で「17才」の序曲として制作され、後に独立した楽曲として親しまれたものです。また、1973年の洋楽カバー「カリフォルニアの青い空」はシングルA面ながら収録対象外となっています。さらに、18枚目のシングルに関しては、初回生産分でA面だった「ふりむいた朝」ではなく、その後にA面扱いとなった「気がむけば電話して」が選ばれています。このディスクは、南沙織のキャリア初期から中期にかけてのシングルヒットの軌跡を辿る内容と言えます。

一方、Disc 2は、1978年にリリースされたシングル4枚から、洋楽カバー「グッバイガール」（日本語詞）を除く3タイトルのA面曲で始まります。それに続いて、同時期のシングルB面曲や、発表当時のスタジオ・アルバム収録曲の中から厳選された楽曲が多数収められています。このディスクの注目すべき点として、1997年7月21日に発売され、これが初めてアルバムに収録された最新シングル「初恋」が含まれていることが挙げられます。また、本作のリリース時点では、一般発売商品としてCD化されていなかった楽曲が10曲も収められていることも大きな魅力でした。Disc 2は、シングルA面以外の隠れた名曲や、比較的新しい時期の楽曲を含み、南沙織の多様な音楽性を紹介する役割を果たしています。

ブックレットと音質

本アルバムには、充実した歌詞ブックレットが付属しています。ブックレットには、音楽ライターの堤昌司氏による詳細なライナーノーツと全収録曲の解説、そして藤沢和美氏による寄稿文が掲載されており、南沙織の音楽世界をより深く理解するための資料となっています。さらに、1970年代当時のレコード盤のディスクジャケット写真や、貴重な別カット写真も複数掲載されており、視覚的にも楽しめる内容です。

音源は、ソニーが開発した独自の技術であるSBM（SuperBitMapping）を用いてリマスタリングされています。これにより、既に前年に同シリーズで発売されていたキャンディーズや山口百恵といったアーティストの作品と同様に、CDフォーマットながら高音質を実現しています。SBMに関する技術的な解説は、CD帯やブックレットの巻末でも紹介されており、この高音質化が本作の重要なセールスポイントの一つであったことが強調されています。

まとめ

『GOLDEN J-POP / THE BEST 南沙織』は、デビューから約25年にわたる南沙織のキャリアを凝縮した2枚組ベストアルバムです。代表的なシングル曲から、未CD化のレアトラック、そして当時の最新曲までを網羅し、さらに高音質リマスタリングと充実したブックレットによって、ファンはもちろん、J-POPの歴史を辿る上で欠かせないアーティストである南沙織の音楽に触れる入門編としても、また決定版としても、価値のある作品と言えるでしょう。

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