GORILLA (アルバム)

TM NETWORK|TM_NETWORKのアルバム『GORILLA』

『GORILLA』（ゴリラ）は、TM NETWORK|TM_NETWORKにとって3枚目のスタジオアルバムとして、1986年6月4日にEPIC・ソニーからリリースされました。このアルバムは、彼らの音楽スタイルにおいて重要なターニングポイントを示しています。リリースに至る背景には、前作『CHILDHOOD'S END』の後の不安定なヒット状況がありました。

背景とレコーディングの経緯

TM NETWORK|TM_NETWORKは1985年にクラシックな音楽フェスティバル「DRAGON THE FESTIVAL」への参加や、初となるミニアルバム『TWINKLE NIGHT』のリリースを通じて、多くの経験を積んでいきました。しかし、この時期はヒットに恵まれず、次のアルバムへのプレッシャーが強まっていました。レコード会社との契約が危ぶまれる中、メンバーは新たな成功を模索していました。

特に、小室哲哉が渡辺美里に提供した「My Revolution」がオリコンで大ヒットしたことで、TM NETWORK|TM_NETWORKの活動が継続されるチャンスを得ました。この成功が、次作『GORILLA』の制作に大きな自信を与えることになりました。

アルバムのレコーディングは日本国内に加えてニューヨークでも行われ、それぞれのスタジオで様々な機材を使用しました。特に、シンセサイザーでは小室が自宅で制作したデモテープが非常に重要な役割を果たしました。このデモはシーケンスソフトを使い、音色やパートを自分で制作し、後のレコーディングに活かされました。レコーディング自体は1986年2月から始まり、ドラムパートが重要な位置を占めました。

音楽性とアルバムの特徴

『GORILLA』は、ファンクを基調とした音楽スタイルを取り入れ、これまでのTM NETWORK|TM_NETWORKのエレクトロポップ路線からの脱却を試みました。このアルバムが届ける人間の情熱や躍動感は、ライブで再現可能なサウンドへと結実し、特に生楽器の使用が特徴です。今回の制作では生ドラムや生ベースが取り入れられ、ホーンセクションも多彩に録音されています。

音楽的なアプローチとしては、アヴェレイジ・ホワイト・バンドやコモドアーズの影響を受けたと言われており、ファンキーな曲とスローなバラードのコントラストを意識して作られました。アルバムのタイトルである「GORILLA」は力強さと優しさを意味し、これが音楽の裏テーマとして機能しています。

リリース後の反響とツアー

アルバムはLP、CT、CDの形態でリリースされ、その後も何度か復刻されるなど、現在でも多くのファンに愛されています。リリース後のツアー「TM NETWORK|TM_NETWORK TOUR '86 FANKS DYNA☆MIX」では、全国で15公演が行われ、ライブアクションを通じた新しいファン層の獲得に成功しました。特に生演奏のライブは、アルバムでのアプローチをさらに際立たせる機会となりました。

批評と評価

音楽情報サイトによる評価では、『GORILLA』がTM NETWORK|TM_NETWORKの新たな音楽的方向性を示した作品として位置付けられ、生音を多く取り入れたことが高く評価されました。こうして『GORILLA』は、TM NETWORK|TM_NETWORKの音楽スタイルの転機を作り上げ、後の活躍へと繋がった一枚なのです。

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