Ghostscript

Ghostscript（ゴーストスクリプト）

Ghostscriptは、アドビのページ記述言語であるPostScriptやPDFのインタープリタであり、これに基づいたソフトウェアパッケージです。デュアルライセンスで配布されており、その柔軟性と多機能性から、様々な分野で利用されています。

特徴

Ghostscriptは、主に以下の特徴を持っています。

ラスターイメージプロセッサ (RIP) としての機能: PostScriptファイルをビットマップ画像に変換し、プリンターへ出力します。UNIX環境では、lpdの入力フィルタとして利用されたり、PostScriptやPDFビューアのRIPエンジンとして、表示に必要なラスター画像を生成します。
ファイルコンバータとしての機能: PostScriptからPDFへの変換など、ファイル形式の変換に利用されます。仮想プリンタなどのPDF作成ソフトでは、PostScriptプリンタドライバと組み合わせて使用されることが一般的です。
画像処理エンジンとしての機能: TeX環境において、EPSファイルをPDFに変換する際の画像処理エンジンとして活用されています。
プログラミング環境としての利用: 言語インタプリタとしての側面も持ち、汎用的なプログラミング環境としても利用可能です。
高い移植性: UNIX、Linux、macOS、Windowsなど、多くのOSに対応しています。UNIX系OSでは`gs`コマンドで起動しますが、通常は後述するフロントエンドを通じて利用されます。

フロントエンド

Ghostscriptをより使いやすくするために、様々なGUIフロントエンドが開発されています。これらのフロントエンドを使用することで、PostScriptやPDFファイルの表示、印刷、スクロール、拡大縮小などの操作が容易になります。

主なフロントエンドには、以下のものがあります。

Ghostview: UNIX/X11環境で動作します。独特な操作感（ドラッグ方向とスクロール方向が逆）が特徴です。
gv: Ghostviewを視覚的に改良したバージョンで、操作感はGhostviewに似ています。
mgv: Motifを使用したGhostscriptのフロントエンドで、標準的なUIを提供します。
Ghostgum GSview: Windows、OS/2、UNIX系OSで動作します。Windows版が特に有名で、GTKを使用しています。以前はAladdin Free Public Licenseで配布されていましたが、現在はArtifex GSViewに移行しています。
Artifex GSView: GSview version 6以降はArtifex Softwareによって開発されており、商用ライセンスでのみ利用可能です。
PDF Blender: クロスプラットフォームなアプリケーションで、PostScriptとPDFの変換やマージが可能です。
Moonshiner: Ghostscriptを使用してPostScriptをPDFに変換するGUIフロントエンドで、Linux上でAdobe Acrobatのような操作感を目指しています。

歴史

Ghostscriptは、1986年にL. Peter DeutschによってGNUプロジェクトのために開発され、GPLライセンスで公開されました。その後、DeutschはAladdin Enterprisesを設立し、プロプライエタリソフトウェアとしてのライセンスも提供しました。現在、GhostscriptはArtifex Softwareが所有しており、同社の従業員と世界中のユーザーコミュニティによってメンテナンスされています。現在のバージョンはGPLライセンスで再び利用可能ですが、商用プロジェクト向けのプロプライエタリライセンスも存在します。

Ghostscript の実装

Ghostscriptには、いくつかの異なる実装が存在します。

GPL Ghostscript: GPLライセンスで利用可能な公式実装です。
GNU Ghostscript: GNUプロジェクトの一部であり、GPL Ghostscriptから派生しています。
ESP Ghostscript: Easy Software Productsによって開発され、CUPSとの互換性を向上させるための修正が加えられていました。しかし、GPL Ghostscriptに統合されたため、開発は終了しています。
Ghostscript (Artifex Software): Artifex Softwareによるプロプライエタリな商用バージョンです。

GPL Ghostscriptは、Display PostScriptを完全にサポートするために必要な機能を持つDisplay Ghostscriptのバックエンドとしても利用されています。

関連項目

CUPS
PostScript Printer Description (PPD)

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