Google デスクトップ

Google デスクトップとは

Google デスクトップは、Googleが開発したデスクトップ検索ソフトウェアです。Windows、Mac OS X、Linuxに対応しており、ローカルディスクや指定されたネットワークディスク内のファイルを対象としたテキスト検索を可能にします。

検索対象は、ウェブページの閲覧履歴、電子メール、チャットの履歴など多岐にわたります。さらに、Googleデスクトップには「Googleガジェット」と呼ばれるウィジェットエンジンが搭載され、デスクトップのカスタマイズも可能でした。

2011年9月2日、GoogleはGoogleデスクトップのサービス終了を発表しました。その理由として、データの保存場所がローカルからクラウドへ移行しつつあること、モダンなOSに同様の検索機能が統合されたことなどを挙げています。

主な機能と特徴

ファイルのインデックス作成

Google デスクトップは、検索時に毎回すべてのファイルをスキャンするのではなく、事前にファイルのインデックスを作成します。これにより、高速な検索を実現しています。

初回インストール時には、コンピュータ内の全ファイルのインデックス作成が行われます。その後も、ファイルの変更に応じてインデックスが更新されます。

インデックス作成の対象となるデータは、プレーンテキストファイルだけでなく、電子メール、ウェブ閲覧履歴、オフィス文書、インスタントメッセージの記録、マルチメディアファイルなど多岐にわたります。プラグインを使用することで、さらに多くのファイル形式に対応できます。

ユーザーは、どの種類のデータをインデックス作成するかを設定できます。ただし、初期インデックス作成時には、ドライブごとに10万ファイルまでという制限がありました。10万ファイルを超えるドライブがある場合、初期インデックス作成が完了しないことがありました。しかし、ファイルの移動やオープン時には、リアルタイムでのインデックス作成も行われました。

サイドバー

Google デスクトップの大きな特徴の一つがサイドバーです。サイドバーはデスクトップの端に配置され、ガジェットを表示します。サイドバーはWindows版とLinux版に搭載されていました。

初期状態では、以下のガジェットが表示されます。

メール: Gmailのメッセージを表示
スクラッチ パッド: メモ帳。書き込んだ内容は自動保存
写真: 写真のスライドショー
ニュース: Googleニュースの最新ヘッドライン
天気: 指定した場所の天気予報
ウェブ クリップ: RSSフィードの表示
Google Talk: Google Talkのウィンドウを組み込み表示

サイドバーは自動的に隠すことができ、マウスカーソルを合わせると表示される機能がありました。また、サイドバーを常に表示させることも可能ですが、その場合は画面を占有するため、ウィンドウのリサイズが必要になることもありました。

新着メールやニュースがある場合には、タスクバー上にポップアップウィンドウで通知する機能もありました。

クイック検索ボックス

サイドバー、デスクバー、フローティングデスクバーから検索を行う際、「クイック検索ボックス」が表示されました。このウィンドウには、最も関連性の高い検索結果が最大6件表示され、インクリメンタルサーチに対応していました。

デスクバー

デスクバーは、検索文字列を入力するためのボックスです。Webの検索結果はブラウザに表示され、ローカルファイルの検索結果はクイック検索ボックスに表示されました。デスクバーには、Windowsのタスクバー上に固定する「固定デスクバー」と、任意の位置に移動できる「フローティングデスクバー」がありました。

電子メールのインデックス作成

Google デスクトップには、Microsoft Outlook、IBM Lotus Notes、Mozilla Thunderbirdの電子メールデータベースをインデックス化するプラグインがありました。Lotus Notesの場合、ローカルデータベースのみが対象となります。また、Gmailアカウントの電子メールもインデックス作成が可能でした。

ガジェットとプラグイン

ガジェットは、デスクトップに配置できる小型のインタラクティブアプリケーションです。新着メール、天気、写真、ニュースなどを表示できました。Googleの公式サイトからは、既存のガジェットをダウンロードできました。

開発者向けには、SDKと公式ブログが提供され、ガジェットやプラグインの開発を支援していました。

リリース履歴

Google デスクトップは、Googleの検索技術をデスクトップ環境に導入するために開発されました。

Windows

2004年10月14日: 最初のベータ版「Google Desktop Search」リリース
2005年3月15日: 日本語版リリース
2005年8月22日: バージョン2ベータ版リリース (サイドバー追加)
2005年11月3日: バージョン2正式版リリース (Googleマッププラグイン、開発ツール提供)
2006年2月9日: バージョン3ベータ版リリース (複数コンピュータの検索サポート)
2006年3月14日: バージョン3正式版リリース (クイック検索ボックス追加)
2006年5月10日: バージョン4ベータ版リリース (Googleガジェットのモジュール機能)
2006年6月27日: バージョン4正式版リリース
2006年11月14日: バージョン4.5リリース (サイドバーの透明化、フローティングガジェット、Windows Vista対応)
2007年3月6日: バージョン5ベータ版リリース
2007年4月27日: バージョン5.1リリース

Mac

2007年4月: Mac OS X版デスクトップ1.0リリース (Spotlightと並行動作可能)
2007年11月29日: Mac OS X版 v1.4.0.826 betaリリース (ガジェットサポートにDashboardを利用)
2008年8月30日: バージョン1.6.0リリース

Linux

2007年6月27日: Linux版バージョン1.0リリース (サイドバーなし)
* 2007年12月18日: バージョン 1.1.1.0075 から64ビットサポート開始

批判

セキュリティ

2007年2月、Google デスクトップに脆弱性が発見され、悪用されるとリモートからのデータアクセスやシステム制御が可能になる危険性が指摘されました。Googleはバージョン5でロジックを変更し、対応しました。

プライバシー

電子フロンティア財団 (EFF) などのプライバシー団体は、ユーザーの個人情報がハードディスクドライブから容易にコピーできることへの懸念を表明しました。特に、複数のコンピュータ上のデータ検索機能は、プライバシー侵害のリスクが高いとされました。この機能を使うと、インデックス作成されたコンピュータのファイルがGoogleのサーバーにコピーされるため、個人の情報が他人にアクセスされる可能性がありました。EFFは、この機能の使用を推奨していませんでした。

プライベートブラウジング対応

Google デスクトップは、Internet ExplorerやFirefoxのプライベートブラウジングに対応していませんでした。プライベートブラウジングで履歴を残さない設定にしていても、Webページの履歴がインデックス化されてしまうという問題がありましたが、後に修正されました。

使用リソース量

初期のバージョンでは、GoogleDesktopCrawl.exeがCPUを過剰に消費する問題がありました。インデックス作成が改善されたことで、この問題は緩和されました。初期のインデックス作成には時間がかかりましたが、完了後はユーザーの行動に応じて逐次更新が行われました。

Outlookのインデックス作成

Microsoft Outlookのインデックス作成にも問題があり、メールを削除してもインデックスが消去されない、新しいメールのインデックスが作成されないという不具合がありました。この問題に対してはパッチが発行されましたが、根本的な解決には至りませんでした。

Google デスクトップは、ローカル環境での検索を効率化する画期的なツールでしたが、プライバシーやセキュリティに関する懸念も指摘され、最終的にはサービス終了となりました。

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