H&K G41

H&K G41：幻のアサルトライフル

H&K G41は、1980年代にドイツのH&K社によって開発された5.56mm口径のアサルトライフルです。当時、アメリカで1,700ドルという非常に高額な価格設定がネックとなり、本国ドイツ連邦軍ですら採用を見送るという経緯を辿りました。皮肉にも、ドイツ連邦軍は後にH&K G36を採用することになります。

G41は、同社のHK33をベースに開発されましたが、内部機構には改良が加えられています。M16/M4と共通の5.56x45mm NATO弾用マガジンが使用可能であり、STANAGマガジンであるため、FN FNCやベレッタAR70/90|ベレッタAR70_90、FA-MAS G2などとも共有できます。

アメリカ合衆国の警察特殊部隊の一部で試験的に導入されたものの、高価格が災いして採用例は多くありません。現在では、M4[[カービン]]への更新が進んでいます。

特徴

G41の銃身には、6条のポリゴナルライフリングが施されています。ヨーロッパ型の7インチ1回転とアメリカ型の12インチ1回転の2種類が存在します。ポリゴナルライフリングは、銃身内部が多角形になっているライフリング方式で、従来型の溝付きライフルに比べて弾丸の変形や銃身の劣化が起こりにくいとされています。

ドラム式リアサイトは、射距離200mから500mの間で4段階の調整が可能です。レシーバー上部には、純正のサイト固定具やピカティニー規格の20mmレールを搭載できます。

セレクター（セーフティ）は、S（安全）、E（単射）、3（3点射）、F（連射）の4つのポジションを備えており、下から上に順番に配置されています。HK33では、フルオートと3点射の切り替えに別途ボタン操作が必要でしたが、G41ではセレクターのみで切り替えが可能です。

G41は、老朽化が進んでいた同社のG3自動小銃の後継として開発された軍用小銃でした。また、H&K G11も特殊部隊向けに開発されていましたが、ベルリンの壁崩壊後の東西ドイツ統合に伴う軍事費削減の影響を受け、採用が見送られました。結果的に、G41とG11を補完できるG36が採用されることになったのです。

しかし、大きなセールスを記録することはできず、G41は1996年にH&K社のカタログから姿を消しました。

運用実績

G41は、ドイツのGSG-9によって1980年代後半から1990年代前半にかけて使用されましたが、後にG36に更新されました。

その他、トルコのジャンダルマやスペインの特殊部隊が採用したほか、潤沢な予算を持つアメリカの一部の州警察SWATでも使用例が見られます。

派生型

G41: 固定銃床付きの標準モデル（ライフルピッチは7インチ1回転）。
G41A1: G41のライフルピッチ12インチ1回転モデル。
G41A2: 伸縮銃床付きモデル。ライフルピッチは7インチ1回転。
G41A3: G41A2のライフルピッチ12インチ1回転モデル。
G41K: 伸縮式銃床と380mmの銃身を持つカービンモデル。ライフルピッチは7インチ1回転。
G41TGS: H&K HK79 グレネードランチャーを取り付け可能なモデル。
G13: M16のマガジンを使用できるようにしたモデル。別名、HK11軽機関銃。
LF G41: イタリアのフランキによって改修・ライセンス生産されたモデル。イタリア軍の次期制式主力ライフルのトライアルにかけられましたが、ドイツ連邦軍がG41の採用を見送ったことを受けて、イタリア軍もLF G41の採用を見送り、ベレッタAR70/90|ベレッタAR70_90を採用しました。

関連項目

H&K
自動小銃
H&K HK33

外部リンク

WORLD GUNS
* HKPRO

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