H-16 (航空機)

パイアセッキ H-16 トランスポーター

概要

パイアセッキ H-16 トランスポーター（社内名称：PV-15）は、フランク・パイアセッキの設計によるタンデムローター式の輸送及び救難用ヘリコプターです。この機体は、パイアセッキ・ヘリコプター社によって製造され、アメリカ陸軍および空軍による評価試験が行われましたが、残念ながら試作機の事故を受けて開発計画は中止されることになりました。

設計と開発

PV-15として呼ばれるこのヘリコプターは、パイアセッキ社の創業者であるフランク・パイアセッキによって設計されました。タンデムローター構造により、効率的な揚力と安定性が得られるようになっていました。開発の目的は、輸送及び救助任務における運用効率の向上であり、特に部隊の迅速な移動と傷病者の迅速な搬送に貢献することが期待されていました。

運用の歴史

1956年1月、試作機のYH-16型がニュージャージー上空での飛行試験中に墜落する事故が発生しました。この事故は機体のキャビンに搭載されていたデータレコーダーの情報によると、後部ローターのスリップリングにおける不具合が原因とされています。具体的には、スリップリングのベアリングが固着し、トルクが後部ローターシャフトの内部に無理に配分され、内部の縦管が破断したことが問題の原因とされました。この結果、ローターシャフトが飛行中に破損し、ローター同士の衝突につながったのです。

残念ながら、この墜落によりパイロットのハロルド・ピーターソンおよびジョージ・キャラハンの2名が命を落としました。これによって、YH-16の他に予定されていたバリエーションであるYH-16Bの開発も中止されることになりました。

派生型

パイアセッキ H-16にはいくつかの派生型が存在します：

• - XH-16A：2基のプラット・アンド・ホイットニー R-2180-A 星型エンジンを搭載し、兵員43名を収容する能力を持っていました。1機が製造され、その後YH-16Bに改装されました。
• - YH-16A：このモデルは2基のアリソン T38-A-10 1,800 shpターボシャフトエンジンを搭載しており、以前はXH-27という名称を使用されていました。
• - YH-16B：XH-16Aをベースにして、エンジンを2基のアリソン T56-A-5 2,100 shpターボシャフトエンジンに換装した試作機です。

諸元

• - 乗員：3名（パイロット2名、航空機関士1名）
• - 定員：兵員47名または担架38床と看護兵5名
• - 全長：23.65 m
• - 全高：7.62 m
• - ローター直径：2 × 25 m
• - 空虚重量：11,544 kg
• - 運用時重量：20,729 kg

性能

• - 最大速度：251 km/h（136ノット）
• - 巡航速度：201 km/h（109ノット）
• - 航続距離：348 km（188海里）
• - 実用上昇限度：4,755 m

まとめ

パイアセッキ H-16 トランスポーターは、航空機技術の進化とそれに伴う安全性の重要性を示す一つの事例として、航空史に名を刻む機体となりました。また、設計者フランク・パイアセッキの業績が、当時のヘリコプター開発においてどれほど重要なものであったかを物語っています。

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