HH-65 ドルフィン

HH-65ドルフィンの概要

HH-65ドルフィンは、エアバス・ヘリコプターズ社のAS 365 ドーファンを基にアメリカ沿岸警備隊の要求に応じて開発された双発シングルローター式ヘリコプターです。この機体は、特に遭難者の捜索や傷病者の搬送に特化した設計が施され、各地の巡視船に搭載されるほか、陸上基地からも発進可能な点が特徴です。

歴史

HH-65の開発は、1973年に始まりました。当初はHH-52A シー・ガードの後継機として計画され、1975年に沿岸警備隊の公式な要求が策定されました。1979年には、アエロスパシアル社のSA 366 G1が選定され、HH-65Aとして正式に採用されます。アメリカの運用ニーズに合わせて、捜索レーダーや航法装置が追加され、エンジンはライカミング・エンジンズ社製に変更されました。

設計と性能

このヘリコプターは、短距離救難型として位置づけられており、比較的小型ですがその分コストを抑えられる設計です。最大航続距離は420海里で、150海里進出後に30分間の滞空が求められるという要件が設定されています。乗員は通常、正副パイロット、機上整備員、救助員の4名で構成されます。捜索に特化したセンシング装備も充実しており、特に荒れた海での遭難者を探知できるよう設計されています。

バージョンの進化

HH-65はその後も改修が行われ、2001年にはHH-65Bへのアップグレードが実施され、ナイトビジョンやアビオニクスの刷新が施されました。さらには、2004年からはHH-65Cへの改修が進められ、オリジナルエンジンの強化も行われました。また、近年ではMH-65Cとして武装強化版も登場しており、これにより沿岸警備隊の対テロ任務に即した運用が可能となっています。

機体の操縦と運用

HH-65は小型機として最大限の運用効率を図って設計されていますが、自動折りたたみ機構がないため、搭載作業は若干の手作業を要します。それに加えて、緊急時の着水に備え、膨張式フロートも装備されています。この機体は、海上での救難活動に特に適しているため、沿岸警備隊の主力機として活躍し続けています。

また、エアバス・ヘリコプターズでは原型機のAS 365を基にした救難機や消防防災機も販売しており、納入先によってはHH-65と類似の仕様となっている機体も存在します。

おわりに

HH-65ドルフィンは、アメリカ沿岸警備隊の救難活動に欠かせない重要な役割を果たしており、その信頼性と性能から、今後も多くの現場で続けて活躍することが期待されます。

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