HQ-16 (ミサイル)

HQ-16ミサイルシステムの概要

HQ-16（中国語: 紅旗-16, 拼音: Hong Qi-16）は、中華人民共和国で開発された対空ミサイルシステムであり、その輸出名はLY-80です。このシステムは中国人民解放軍の地上および艦上の防空能力を強化することを目的に設計されています。HQ-16はロシアのブークM2のリバースエンジニアリングに基づいて開発されたと考えられています。

来歴

HQ-16は、中国海軍のソヴレメンヌイ級駆逐艦に搭載されていたシュチーリ対空ミサイルシステムのアップグレードを目的に、2000年代初頭に中露共同開発の一環として開発されました。約2000年、ブークM1-2をロシアから購入した後、2005年からアルマズ・アンティ社と協力して開発が進められました。

最初に装備されたのは艦載版のHHQ-16で、これを搭載した054A型フリゲート艦は2008年に就役を開始しています。その後、2011年から陸軍向けのHQ-16Aの配備が始まり、さらに2016年にはHQ-16Bが、2018年にはHQ-16Cがそれぞれ開発され、初期の作戦能力を獲得したとされています。

設計

ミサイル本体の仕様

最初に実用化されたHHQ-16は、ロシアのシュチーリ-1で使用されている9M317MEの中国版とも言われており、射程は約40キロメートルとされています。一方で、HQ-16Aも同様の射程をもち、巡航ミサイルを迎撃する際にはその射程が12キロメートルに短縮されることが考えられています。HQ-16BおよびHQ-16Cではロケットモーターや翼部の設計が改良され、射程が70キロメートルまで延ばされています。

ミサイルの誘導方式はセミアクティブ・レーダー・ホーミング方式を採用しており、航空機に対しては85パーセント、巡航ミサイルに対しては60パーセントの単発撃破確率（SSKP）があるとされています。

システム構成

HQ-16の発射機は垂直発射方式を採用しており、054A型フリゲートに搭載された場合は、矩形のVLS（垂直発射システム）が8セルで構成され、H/AKJ-16という形式名が付けられています。誘導にはシュチーリに類似した「アリェーフ」（NATO名「フロント・ドーム」）火器管制レーダーが使われます。

地上版では、自走発射機としてTA5350 6×6高機動トラックを基にした装輪式の発射機が採用されています。通常、射撃中隊は6セルのVLSを装備した発射機4両に加え、指揮・統制ユニット、レーダーユニット2基（LバンドとSバンドでそれぞれ探知距離が異なる）および発電機で構成されます。

まとめ

HQ-16は、中国における防空ミサイルシステムの重要な一部を構成しており、艦載版と陸上版の両方で運用可能です。その高い射程と確実な命中率は、現代の戦場における多様な脅威に対抗するための信頼性の高い防空手段を提供しています。

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