He 112 (航空機)

ハインケル He112

ハインケルHe112は、1930年代のドイツで開発された単発のレシプロ戦闘機であり、そのデザインや性能が注目されました。この機体は、ハインケル社の独自な楕円翼を特徴とし、逆ガル翼の構造を持っていましたが、メッサーシュミットBf109との比較審査に敗れ、ドイツ空軍には正式採用されませんでした。結果的に、少数が輸出向けに生産されました。

開発の背景

開発は1933年から始まり、当初はハインケルHe51の後継機を求めるドイツ航空省の要求に応じて設計されました。He112は全金属製の機体で、パイロットの視界を重視したオープンコックピットを採用し、外側引き込み式の主脚を持ちながらも車輪間隔が広く設計され、地上運用が容易でした。また、搭載されたエンジンはイギリス製のロールス・ロイスケストレルで、当時の戦闘機としては近代的な特性を備えていたと言えます。

1935年に初号機が完成し、当時の主力戦闘機候補であるBf109やFw159などと比較されましたが、性能テストでは他の機体に対して劣る結果となり、航空省からの支持を得ることができませんでした。特に、Bf109に比較して速度や上昇性能が低かったことで、量産化への道は閉ざされました。

改良とその後の展開

その後、ハインケル社は改良に取り組み、エンジンをJumo 210Daに換装した増加試作型V4では、最高速度485 km/hを記録しましたが、航空省の反応は薄いものでした。更にエンジンを強化したV-9機ではBf109を上回る性能を発揮しましたが、結局はビジネス上の理由から主力機はBf109とされ、He112は輸出向けに生産されることが確定しました。

日本では日本陸軍と海軍が20機を発注し、1938年に12機が輸入されました。しかし、テストの結果、運動性能や上昇能力が不十分であったため、採用が見送られ、残りはキャンセルされました。既に輸入された機体は、後に練習機や教材として利用された他、技術研究にも寄与しました。

また、その他の国々への輸出も行われ、ルーマニアやハンガリーに一定数の機体が供給されましたが、結局総生産機数は100機前後にとどまりました。メッサーシュミット社の影響力により、He112はドイツ空軍において公式な戦闘機として採用されることはありませんでした。ハインケル社はその後、He100の開発に力を注ぐことになります。

諸元

基本データ

• - 全長：9.30 m
• - 全幅：9.10 m
• - 全高：3.85 m
• - 翼面積：17.0 m²
• - 全備重量：2,250 kg
• - エンジン：ユンカース ユモ 210Ea 680 hp × 1
• - 最大速度：510 km/h
• - 実用上限高度：8,500 m
• - 航続距離：1,100 km

武装

• - MG FF 20 mm機関砲 × 2
• - MG 17 7.92 mm機関銃 × 2
• - 乗員：1名

登場作品

• - アニメ: 『終末のイゼッタ』において、He112をモデルにした戦闘機が登場。
• - ゲーム: 『War Thunder』では複数の型が登場し、プレイヤーが操作可能。

参考文献

本機に関する情報は、原田敏英氏の著作や専門誌などから確認できます。

関連項目

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