Higher Self

アルバム『Higher Self』について

氷室京介の3枚目のオリジナルアルバム『Higher Self』は、1991年4月6日に東芝EMIのイーストワールドレーベルからリリースされ、音楽ファンに大きな影響を与えました。このアルバムは、前作『NEO FASCIO』から1年7か月ぶりの作品であり、ほとんど全曲の作詞は松井五郎、作曲は氷室自身によるものです。バンドSP≒EEDがバックで参加し、共同で編曲を手掛けました。

制作の背景と音楽性

『Higher Self』は、氷室が前年に巡ったコンサートツアーでの経験を基にして制作されました。前作が一貫したテーマを持つコンセプトアルバムであったのに対し、本作は特定のコンセプトに縛られない自由なスタイルが特徴です。レコーディングには、前のツアーで結成されたバックバンドSP≒EEDが参加し、彼らとのセッションを通じて、多くの楽曲が形作られました。

このWORKは、オリコンアルバムチャートで1位を獲得し、売り上げは40万枚を超えるなどの商業的成功を収めました。その結果、日本レコード協会からプラチナ認定を受けています。先行シングルとして「JEALOUSYを眠らせて」がフジテレビドラマの主題歌にも選ばれ、5月16日にシングルとしてリリースされました。

録音・制作過程

『Higher Self』のレコーディングは、中野や品川、六本木にあるスタジオで行われました。氷室はソロ活動をしつつも、バンド特有の楽しさを覚え、音楽制作においての「ホームシック」になったことを語っています。レコーディングでは、各楽曲の方向性が明確でない場合には後回しにし、すぐに形が見える曲から作業が進められるスタイルをとっていました。これにより、スムーズなセッションが生まれました。

ディレクターの子安次郎は、アルバムの制作にあたりヒット性が求められる楽曲たちの音に着目し製作を進めました。氷室が持ち込んだアイデアとSP≒EEDのメンバーとの信頼関係に基づき、円滑なコミュニケーションが生まれ、バンドとしての個性が際立つ作品に仕上がりました。

音楽的コンセプトと歌詞

『Higher Self』というタイトルは「大いなる自己、自分の精神性の高み」を意味しており、収録曲に関してもそのテーマ性が反映されています。特に「CRIME OF LOVE」という曲について氷室は、自身の音楽スタイルがもたらす感情の深さを強調し、その魅力について言及しています。また、歌詞にはメタファーを効果的に用いるなど、氷室が昔から持つ独自の表現方法が息づいています。

全体としては、ラブソングが多めに収録され、氷室自身も、自身の等身大の感情が描かれていることを強調しています。このアルバムでは、松井との共同作業の中で、シンプルかつ強いメッセージを曲に込めることに成功しています。

収録内容と楽曲の魅力

アルバムには「JEALOUSYを眠らせて」や「CRIME OF LOVE」などのヒット曲が含まれ、各曲は氷室の様々な感情や思索を反映しています。「MOON」などは特に、シンプルながらも深いメッセージ性が込められ、氷室自身の成長を感じさせる作品となっています。楽曲ごとに氷室の独特な視点が表れており、聴く者を引き込む魅力を持っています。

このように、『Higher Self』は音楽的にも歌詞的にも非常に充実した作品となっており、氷室京介のアーティストとしての幅広い表現力が示される名盤です。アルバムのリリース後には、コンサートツアー「OVER SOUL MATRIX TOUR 1991」も実施され、さらなるファンの支持を集めました。

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