I・DE・A

氷室京介『I・DÉ・A』：究極の音楽を求めた、アメリカでの挑戦

『I・DÉ・A』（イデア）は、日本のロックシーンを牽引する氷室京介が1997年12月10日にリリースした7枚目のオリジナル・アルバムです。前作『MISSING PIECE』から1年3ヶ月ぶりとなる本作は、作詞に松井五郎と松本隆、作曲に氷室京介とスティーヴ・スティーヴンス、編曲にスティーヴンスと佐久間正英を迎え、氷室自身初の単独セルフプロデュース作品となりました。

アメリカでの新たな挑戦

アルバムのレコーディングは、一部を除きほぼ全編アメリカで行われました。当時、氷室はロサンゼルスに拠点を移し、憧れのギタリストであったスティーヴ・スティーヴンスとの共同作業を実現させます。氷室は本作を「究極の氷室京介の音楽」と表現し、新たな音楽性の探求に意欲を燃やしました。

制作背景

4thアルバム『Memories Of Blue』の大ヒット以降、氷室は著名人としての生活に疑問を感じ始めます。周囲への依存や、ミュージシャンとしての活動と個人としての生活のバランスに苦悩し、リセットの必要性を感じていました。そんな中、シングル『魂を抱いてくれ』のPV撮影で訪れたネバダ州での経験が、彼の決意を後押しします。低賃金で働くスタッフが夢に向かって努力する姿を目の当たりにし、成功しているはずの自分とのギャップに虚しさを感じ、アメリカへの移住を決意しました。

音楽性とレコーディング

本作のレコーディングは、佐久間正英所有のスタジオを除き、全てアメリカで行われました。アメリカでの生活を始めたばかりの氷室は、日本とは全く異なる環境で、ミュージシャンとの連絡、スケジュール管理、スタジオワークなど、全てを自身で行う必要がありました。編曲はほぼ全てスティーヴ・スティーヴンスが担当し、彼の才能に氷室は驚愕したと言います。スティーヴンスとの楽曲制作を通して、氷室は「音楽の楽しさをもう一度思い出させてくれた」と語っています。

楽曲について

アルバムには、先行シングルとしてリリースされた「NATIVE STRANGER」（日本テレビ系ドラマ『せいぎのみかた』エンディングテーマ）、「HEAT」（ダイドードリンコ「ダイドーブレンドコーヒー」CMソング）を含む全10曲が収録されています。

RE-BORN: シングル「HEAT」のカップリング曲。
SWEET MOTION: イントロが前曲と繋がっています。
FLOWER DIMENSION:
堕天使:
NATIVE STRANGER: アルバム・バージョンとして収録。
LOST WEEKEND:
NO MORE FICTION:
DRIVE: シングル「NATIVE STRANGER」のカップリング曲。
HEAT: アルバム・バージョンとして収録。
DISTANCE:

リリースと評価

アルバムはオリコンアルバムチャートで1位を獲得し、34.2万枚を売り上げました。日本レコード協会からはプラチナ認定を受けています。音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「奥深く男の色気を感じさせる楽曲ばかりが並ぶ」と評され、スティーヴンス参加によるダイナミックなロックサウンドが評価されました。

参加ミュージシャン

スティーヴ・スティーヴンス（ギター、ベース、キーボード&プログラミング）、佐久間正英（ベース、ギター、キーボード&プログラミング）、フラン・バニッシュ（ギター）、マーク・シュルマン（ドラムス&パーカッション）、カート・ビスケラ（ドラムス）、ジェイミー・ミュホベラック（キーボード&プログラミング）、デヴィッド・キャンベル（ストリングス・アレンジメント）など、豪華なミュージシャンが参加しています。

まとめ

『I・DÉ・A』は、氷室京介が新たな音楽性を追求し、アメリカで様々な挑戦を行った意欲作です。スティーヴ・スティーヴンスとのコラボレーション、初のセルフプロデュースなど、彼の音楽に対する情熱と革新性が凝縮された、まさに「究極の氷室京介の音楽」と言えるでしょう。

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