Memories Of Blue

氷室京介『Memories Of Blue』

『Memories Of Blue』は、日本のシンガーソングライター氷室京介が1993年1月7日にリリースした4枚目のオリジナルアルバムです。前作『Higher Self』から約1年9ヶ月ぶりの作品で、作詞は氷室自身と松井五郎、作曲は氷室、編曲とプロデュースは西平彰が担当しました。

制作背景

前作リリース後、氷室は「OVER SOUL MATRIX TOUR 1991」と題した大規模なコンサートツアーを実施し、1991年11月にはその模様を収録したライブビデオをリリースしました。1992年にはシングル「Urban Dance」をリリースし、ドラマ主題歌として話題を呼びます。また、初のリミックスアルバムもリリースするなど、精力的な活動を展開しました。先行シングル「Good Luck My Love」も発表し、ミリオンセラーを達成しています。

レコーディング

レコーディングは、都内複数のスタジオで行われ、ミキシングはニューヨークのスカイラインスタジオ、マスタリングはニューヨークのマスターディスクにて行われました。ミキシング・エンジニアにはニール・ドーフスマンが参加し、氷室にとって大きなターニングポイントとなりました。彼は、氷室の音楽活動を前期、中期、後期と分けた場合の中期への入り口を作った人物と氷室は語っています。

音楽性と歌詞

当時の氷室は、メディアによって作られたパブリックイメージが先行している状況に疑問を感じていました。そのため、「Urban Dance」はマニアックで実験的な楽曲となり、「ここまでやったら売れないだろう」という挑戦的な意図で制作されました。一方、「Good Luck My Love」は、ビートを削ぎ落とした時にメロディがどれだけ残るかを狙った曲であり、「KISS ME」は誰もが受け入れやすい要素を詰め込んだ楽曲で、ヒットを確信していたと述べています。また、タイトル曲である「Memories Of Blue」は、氷室自身の青春時代の記憶が歌詞に反映されています。

収録曲

SIDE ONE

1. KISS ME：アルバムバージョンで収録された9枚目のシングル。
2. YOU'RE THE RIGHT：「KISS ME」のカップリング曲で、アルバムバージョン。
3. Memories Of Blue：「Good Luck My Love」のカップリング曲で、アルバムバージョン。
4. RAINY BLUE
5. Good Luck My Love：8枚目のシングルで、アルバムバージョン。

SIDE TWO

1. SON OF A BITCH
2. Decadent
3. Urban Dance：7枚目のシングルで、ベストアルバム『MASTERPIECE #12』収録のバージョン。
4. GET READY "TONIGHT" TEDDY BOY
5. WILL

リリースとチャート成績

本作は1993年1月7日にCDとCTでリリースされ、オリコンアルバムチャートで1位を獲得、134.2万枚のミリオンセラーを記録しました。日本レコード協会からトリプルプラチナ認定を受けています。音楽情報サイト『CDジャーナル』では、歌謡ロックとして安定していると評価しつつ、「WILL」を「予想外にいい」と称賛しています。

プロモーション

リリース前には、「KISS ME」のジャケット写真が渋谷駅周辺の巨大ボードやファッションビルに掲示されるという、当時としては異例のプロモーションが行われました。また、「KISS ME」のミュージックビデオも制作されました。これらのプロモーションは、氷室自身の指示によって行われました。

ツアー

アルバムリリース後には、「TOUR 1993 "L'EGOISTE"」と題した全国ツアーが行われ、約20万人を動員しました。ツアー中には、氷室の体調不良により、大阪公演が延期になり、後日、無料招待の振替公演が開催されました。氷室は、この件について「プロとしてあってはならない姿」と述べています。

スタッフクレジット

参加ミュージシャン

西平彰 – キーボード
湊雅史 – ドラムス
アンディ・ニューマーク – ドラムス
美久月千晴 – ベース
浅田孟 – ベース
トニー・レヴィン – ベース
佐橋佳幸 – ギター
大村憲司 – ギター
小倉博和 – ギター
鈴川真樹 – ギター
ジェフ・タール – ギター
アイラ・シーゲル – ギター
本田雅人 – サクソフォーン
坪倉唯子 – コーラス
山根麻衣 – コーラス
クレイ・ローレイ – コーラス
ビバリー・クロスビー – コーラス
アンネット・ST.ジョン・パーカー – コーラス
レイ・デイ – コーラス

録音スタッフ

西平彰 – プロデューサー
坂元達也 – レコーディング・エンジニア
ニール・ドーフスマン – ミキシング・エンジニア
グレゴリー・フルギンティ – マスタリング・エンジニア
中村悦広（セディック） – アディショナル・エンジニア
東諭（ナッズスタジオ） – アディショナル・エンジニア
松本元成 (パラダイススタジオ） – アディショナル・エンジニア
川澄伸一（パラダイススタジオ） – アシスタント・エンジニア
佐久間義則（ベイブリッジスタジオ） – アシスタント・エンジニア
守屋勝美（サウンドスカイスタジオ） – アシスタント・エンジニア
長谷部敦（キュー・テックスタジオ） – アシスタント・エンジニア
コバヤシタカシ（スタジオサムウェア） – アシスタント・エンジニア
デヴィッド・シフマン（スカイラインスタジオ） – ミックス・アシスタント・エンジニア
やながわかつまさ（ナッズスタジオ） – エキップメント

制作スタッフ

山田正則（東芝EMI） – A&Rチーフ
子安次郎（東芝EMI） – A&R
渡辺雅敏（東芝EMI） – A&R
渋谷高行（ユイ・ミュージック・パブリッシャーズ） – A&R
宮野真一（ユイ・ミュージック・パブリッシャーズ） – A&R
土屋浩（ユイ音楽工房） – アーティスト・プロデューサー
鈴木祥紀（ユイ音楽工房） – アーティスト・マネージャー
高野和彦（ユイ音楽工房） – アーティスト・マネージャー
あらきただし（ユイ音楽工房） – マネージメント・スタッフ
やがさきゆうけん（ユイ音楽工房） – マネージメント・スタッフ
おおぬまともお（ユイ音楽工房） – マネージメント・スタッフ
かわじりこうじ（ユイ音楽工房） – マネージメント・スタッフ
ましのともみ（ユイ音楽工房） – マネージメント・スタッフ
カズハヤシダ (HERO Associates Inc.) – U.S.プロダクション・スーパーバイザー
ジェフ・シュワルツ (PNFW) – U.S.アカウント・アドミニストレーション
ルパート・グレイ (PNFW) – U.S.アカウント・アドミニストレーション
後藤由多加（ユイ音楽工房） – エグゼクティブ・プロデューサー
石坂敬一（東芝EMI） – エグゼクティブ・プロデューサー

美術スタッフ

森谷統（ルイジアナ・カンパニー） – クリエイティブ・ディレクター、アートディレクター
加藤剛（東芝EMI） – ビジュアル・コーディネーター
わたなべかえで（ルイジアナ・カンパニー） – ビジュアル・プロデューサー
小木曽威夫 – 写真撮影
横原義雄 (Fellows) – ヘアー、メイク
* とびたみき（ルイジアナ・カンパニー） – デザイナー

まとめ

『Memories Of Blue』は、氷室京介の音楽的な挑戦と、自身の内面を深く掘り下げた作品であり、その後の彼の音楽活動に大きな影響を与えた重要なアルバムです。ミリオンセラーを達成しただけでなく、その音楽性と多様な楽曲は、多くのファンを魅了し続けています。

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