IBM 5250

IBM 5250は、IBMが開発したミッドレンジコンピュータ、特にAS/400（現在はIBM i）シリーズで使用される専用の表示端末装置です。この端末は、単なるハードウェアとしての端末だけでなく、その通信プロトコルや、パーソナルコンピュータ上で5250端末の機能を再現するエミュレータソフトウェアも指します。IBM 5250は、IBMのメインフレームコンピュータで使用される3270端末と類似したコンセプトを持っていますが、両者には互換性がありません。これらの端末はしばしば「3270/5250」と一括りに呼ばれることもあります。

5250端末の特徴として、キャラクターベースの画面表示が挙げられます。これは、グラフィカルなユーザーインターフェース（GUI）ではなく、テキストベースの画面表示が基本となるものです。端末内部には画面制御のためのプロセッサーやメモリが組み込まれており、当初はASCII端末と比較して「インテリジェント端末」と呼ばれていました。しかし、現在のパーソナルコンピュータと比較すると、その機能は限定的であるため、しばしば「ダム端末」と呼ばれることもあります。

5250端末はメインフレーム用の端末ではなく、3270端末の後継機種でもありません。メインフレームに直接接続することはできず、3270端末とは並行して使用されていました。現在では、物理的な端末装置としての5250はほとんど使用されず、パーソナルコンピュータ上で動作するエミュレータソフトウェアがその役割を担っています。

5250端末エミュレータ・ソフトウェアの種類

5250端末の機能をパーソナルコンピュータ上で実現するためのエミュレータソフトウェアは、様々なベンダーから提供されています。以下に代表的なものをいくつか紹介します。

IBM パーソナル・コミュニケーションズ (PCOMM)：IBMが提供する3270/5250端末エミュレータの代表的な製品で、幅広い機能と高い信頼性が特徴です。
IBM i Access (旧・Client Access)：IBM i (AS/400の後継) に接続するための統合ソフトウェアで、5250エミュレータ機能も含まれています。
IBM ハードウェア管理 (HMC) コンソール：IBMのサーバー管理コンソールにも、5250コンソール機能が組み込まれています。
富士通 WSMGR：富士通が提供する端末エミュレータで、3270および5250の両方のエミュレーションをサポートしています。
キヤノンITソリューションズ TCPLink Enterprise Server 日本語5250エミュレータ：キヤノンITソリューションズ（旧・蝶理情報システム）が提供する日本語対応の5250エミュレータです。
インターコム FALCON 5250：インターコムが提供する5250端末エミュレータです。
ユニリタ EXTES：ユニリタが提供する端末エミュレータです。

これらのエミュレータソフトウェアは、パーソナルコンピュータ上で5250端末と同様の操作を可能にし、IBM iシステムへのアクセスを支援します。

注釈

IBM 5250は、特定の技術やシステムを指すだけでなく、その歴史的な背景や関連するソフトウェアにも深く関わっています。そのため、単なる端末装置としての機能を超えて、幅広い意味で理解される必要があります。

関連項目

AS/400: IBMのミッドレンジコンピュータシリーズ。IBM 5250端末は主にこのシリーズで利用されてきました。
端末: コンピュータシステムとユーザー間のインタフェースとなる装置。5250は専用の表示端末として位置づけられます。
端末エミュレータ: 異なるタイプの端末の機能をソフトウェアで再現するプログラム。5250エミュレータは、PC上で5250端末を再現します。
IBM 3270: IBMメインフレームコンピュータ用の表示端末。5250端末と同様に専用端末の代表例です。

外部リンク

日本IBM - PCOMM：IBMの端末エミュレータ製品の情報を提供しています。

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