IBM 701

IBM 701電子データ処理マシン

IBM 701電子データ処理マシン、略してIBM 701は、1952年4月29日に発表されたIBMの初の科学技術計算用コンピュータです。これはプログラム内蔵方式の大型コンピュータであり、「IBMの最初のメインフレーム」として知られています。このマシンは、国防計算機というコードネームで開発され、設計を担当したのはナサニエル・ロチェスターでした。IBM 701は、全19台が出荷され、コンピュータの歴史において重要な役割を果たしました。

背景と開発の経緯

1950年代初頭、IBMはパンチカード関連装置に依存しており、その売上の大部分を占めていました。様々なデータ処理機器を製造する中で、IBMは汎用の大型コンピュータを持っていませんでした。しかし、1940年代後半、特にアメリカ政府における国政調査の需要が急増すると、より迅速で高度なデータ処理を求める声が高まりました。この需要に応えるために、IBMは汎用計算機の必要性を強く認識しました。

設計と施工

701の設計は1951年初頭に始まり、150人以上の技術者が参加し、プロジェクトは限られた予算とスケジュールで進められましたが、スピードが重視された結果、非常に早く仕事が進行しました。設計開始から約1年後の1952年4月には、社長のトーマス・J・ワトソンが新型マシンの発表を行いました。この際、IBM 701には小型の接続ユニットと3種の電子記憶装置が含まれていることが強調されました。

納入と影響

発表から約1か月後には、アメリカ政府や軍事関係から多くの受注があり、最終的には20件近くに達しました。この初期の受注を受けて、最初のIBM 701が1952年12月にニューヨーク州のIBMワールドヘッドクオーターに納入されました。その後、核兵器開発などの用途で多くの組織に供給されました。

技術的特徴

IBM 701は、ウィリアムス管、磁気ドラム、磁気テープ装置といった革新的な記憶装置を持ち、これにより大容量のデータを扱うことが可能でした。例えば、ウィリアムス管は約2万桁、磁気ドラムは82,920桁、磁気テープでは800万桁のデータを記憶できます。加えて、演算速度も非常に高く、1秒間に1万6000回以上の加減算を実行することができました。

競争とその後

IBM 701は、レミントンランド社のUNIVAC Iに対抗するために開発されましたが、商業用途を広く対象にしていないために、民間企業での採用はあまり広がりませんでした。その後、IBMは701の機能を強化した後継機IBM 704を1955年に発表し、これによって701の製造は終了しました。

結論

IBM 701は、コンピュータの発展において重要なマシンであり、汎用計算機市場へのIBMの進出の足掛かりとなりました。このマシンの成功が、その後のIBMの成長とメインフレーム市場での覇権を築く基盤を作ったと言えるでしょう。

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