ICHI (企業)

株式会社ICHI：アニメーションから実写映画へ、そして版権管理へ

株式会社ICHI（イチ）は、日本の映像制作会社です。アニメーション作品の版権管理と、実写映画を中心とした映像作品の企画・制作が主な事業内容となっています。2008年、それまで株式会社ナックとして知られていた同社は、社名を変更し現在に至っています。

ナック時代：アニメーション制作の隆盛と多様な挑戦

1967年9月25日、7名が発起人となり、株式会社ナック（KnacK、アニメーション工房ナック）が設立されました。設立メンバーには、東映動画（現・東映アニメーション）出身の月岡貞夫氏や時報映画社取締役の鈴木元章氏など、アニメーション業界のベテランたちが名を連ねています。

当初はコマーシャルフィルムやテレビ番組のオープニング制作が中心でしたが、1970年代のアニメブームを追い風に、テレビアニメの制作にも参入。独特な作風で知られる『チャージマン研!』など、数多くの作品を生み出しました。同作品は、放送当時はあまり注目されませんでしたが、近年になってインターネット上で再評価され、高い人気を博しています。

1969年には東京都練馬区に移転。その後、『ドン・チャック物語』のタイルアートが施された社屋は、「ドンチャックビル」として親しまれる存在となりました。

ナックは、テレビアニメだけでなく、OVA（オリジナルビデオアニメーション）にも進出。『渋谷ホンキィトンク』（1988年）でOVA制作元請業務を開始し、翌年には18禁OVA『冒険してもいい頃』（1989年）を制作するなど、ジャンルを問わず積極的に作品制作に取り組んでいました。1990年代以降は実写映画制作にも進出し、アニメと並行して活動していました。

しかし、1996年に『LUNATIC NIGHT』の制作を最後にアニメーション制作事業から撤退。その後は実写映画やオリジナルビデオの制作を続けましたが、徐々に事業規模を縮小していきました。

株式会社ICHIへ：版権管理へのシフトと新たな展開

2008年8月26日、株式会社ナックは株式会社ICHIに社名変更しました。2017年には代表取締役社長が交代し、同年には本社ビルを解体、移転しています。

現在、ICHIは『チャージマン研!』を始めとする過去のアニメ作品やOVAの版権管理とプロモーションを中心に活動しています。 また、過去に制作された数多くの作品、特に『アタッカーYOU!』は、日本国内での人気は低かったものの、フランスやイタリアで高い人気を獲得し、イタリアではバレーボールのプロリーグ設立のきっかけとなるなど、世界的な影響力を持つ作品も存在します。

多彩な作品群：アニメ、OVA、実写映画

ICHI（旧ナック）は、長年に渡り様々なジャンルの作品を制作してきました。アニメーション作品としては、『チャージマン研!』以外にも、『いじわるばあさん』など多くの作品が存在します。OVAでは、アダルトアニメや、人気シリーズとして展開された作品など、幅広いジャンルの作品を制作。実写映画においても、多くの作品を制作協力、もしくは制作元請けとして手掛けてきました。

さらに、パイロット版として制作された作品も数多く存在し、その中には現在では伝説的作品となっているものも多く含まれています。これらのパイロット版作品は、後年になってブルーレイソフトなどの特典として公開されるなど、現在もなお注目を集めています。

関係者とその後

ICHI（旧ナック）で活躍したスタッフの中には、その後独立して独自の制作会社を設立した人物も多くいます。スタジオコメット、スタジオキャブなど、現在も活躍するアニメーションスタジオが、ICHI出身者の手によって設立されたという事実も、同社のアニメーション業界への貢献を示しています。

まとめ

株式会社ICHIは、アニメーション制作から始まり、OVA、実写映画制作を経て、現在は版権管理を主軸とした事業展開を行っています。その歴史は、日本のアニメーション業界、そして映像業界全体の変遷を反映しており、多様な作品群と、業界に貢献した多くの関係者によって、日本の映像文化に大きな足跡を残しています。 今後の展開にも注目が集まります。

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